定性分析と定量分析の違い7つ|使い分けと手法12選を徹底解説
- 2026/04/06
- 2026/09/03
定性分析と定量分析の違いは、「なぜそうなったのか」を言葉で掘り下げるか、「どれくらい起きているのか」を数値で測るかにあります。どちらか一方だけでは、顧客理解も社内の意思決定も片手落ちになります。
本記事では、両者の違いを7つの観点で一覧比較し、それぞれの代表的な手法12選、実務での使い分け方、組み合わせて成果につなげる6ステップまでを解説します。
読み終えるころには、「自社の課題にはどちらを、どの順番で使うべきか」を自分で判断できる状態になります。BtoB企業のマーケティング・営業・人事担当者の方に向けた内容です。
この記事の監修・運営情報
運営企業:ラーナーズ株式会社 Interviewz(インタビューズ)/ヒアリングDXブログ編集部
監修:Interviewz プロダクトチーム(ヒアリング・診断コンテンツ設計の支援実績をもとに監修)
専門領域:BtoB/BtoCのヒアリング設計、アンケートUX、診断コンテンツによるCVR改善
ヒアリング/診断コンテンツのDX領域で200本以上の記事を制作・監修。ノーコードヒアリングツール「Interviewz」の運営で得た現場知見をもとに、BtoBの営業・マーケ・人事の実務に役立つ情報を発信しています。
定性分析と定量分析の違いを結論から整理

最初に結論をお伝えします。定性分析と定量分析の最大の違いは「答えられる問いの種類」です。定性分析は「なぜ?」に、定量分析は「どれくらい?」に答えます。
この一点を押さえておくと、調査を設計するときに迷いません。問いが「なぜ解約したのか」なら定性、「どのプランの解約率が高いのか」なら定量、という判断ができるようになるからです。
定性分析とは?言葉・行動から「理由」を読み解く手法
定性分析とは、数値化されていないデータ(言葉・画像・行動記録)を整理・解釈し、その背景にある理由や心理を明らかにする分析手法です。インタビューの発言録、アンケートの自由記述、SNSの口コミ、営業のヒアリングメモなどが対象になります。
特徴は、少数のデータから深い洞察を引き出せる点にあります。5〜15名程度のインタビューでも、主要な課題パターンはかなりの精度で見えてきます。
一方で、分析者の解釈が入るため、手順を明確にしないと「担当者の主観」で終わってしまうリスクがあります。だからこそ、後述するコーディングやKJ法といった型が重要になります。
定量分析とは?数値で「規模と傾向」を測る手法
定量分析とは、数値化されたデータを集計・統計処理し、事象の規模・傾向・関係性を客観的に把握する分析手法です。アンケートの選択式回答、アクセス解析、売上データ、NPSスコアなどが対象になります。
特徴は、再現性と客観性の高さです。同じデータと同じ手順なら誰が分析しても同じ結果になるため、社内での合意形成や経営報告に強い説得力を持ちます。
ただし、数値は「何が起きたか」は語っても「なぜ起きたか」は語りません。離脱率が30%と分かっても、その理由は数字の中には書かれていないのです。
両者は対立ではなく補完関係にある
実務でよくある誤解が、「定性と定量はどちらが優れているか」という発想です。結論から言えば、両者は競合ではなく補完関係にあります。
定量分析で「どこに問題があるか」を特定し、定性分析で「なぜ起きているか」を解明する。そして再び定量分析で「その仮説は全体に当てはまるか」を検証する。この往復が、精度の高い意思決定を生みます。
本記事の後半では、この往復を6ステップの型に落とし込んで解説します。
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【一覧比較表】定性分析と定量分析の違い7つ
ここからは、定性分析と定量分析の違いを7つの観点で比較します。まずは全体像を一覧表で確認してください。
| 比較の観点 | 定性分析 | 定量分析 |
|---|---|---|
| 1. 扱うデータ | 言葉・文章・画像・行動記録(非構造化データ) | 数値・スコア・件数(構造化データ) |
| 2. 答えられる問い | なぜ?どのように?(Why/How) | どれくらい?どちらが?(How many/Which) |
| 3. サンプル数 | 少数(5〜30件程度) | 多数(最低100件、理想は384件以上) |
| 4. 収集方法 | デプスインタビュー、FGI、自由記述、行動観察 | 選択式アンケート、ログ解析、売上・CRMデータ |
| 5. 分析プロセス | コーディング→カテゴリ化→解釈(分析者の解釈に依存) | 集計→統計処理→有意差検定(手順が定型化) |
| 6. コスト・期間 | 1件あたりの単価が高く、分析に時間がかかる | 大量配信は安価。設計〜集計を自動化しやすい |
| 7. アウトプット | 顧客の生の声、ペルソナ、カスタマージャーニー | グラフ、KPI、統計的根拠のあるレポート |
以下、それぞれの違いを実務目線で掘り下げます。
違い1|扱うデータの種類が「非構造化」か「構造化」か
定性分析が扱うのは、そのままでは集計できない非構造化データです。インタビューの逐語録、アンケートの自由記述欄、問い合わせメールの本文、店頭での行動観察メモなどが該当します。
これらは1件ずつ文脈が異なるため、人が読んで意味を解釈するプロセスが必ず必要になります。近年はAIによる要約・分類も進んでいますが、最終的な意味づけは人が担うのが実情です。
対して定量分析が扱うのは、あらかじめ選択肢や尺度が決まっている構造化データです。5段階評価、購入金額、PV数、NPSスコアなど、そのまま平均値やクロス集計にかけられます。
判断基準はシンプルで、「Excelにそのまま入れて集計できるか」です。できるなら定量、できないなら定性のデータだと考えて差し支えありません。
違い2|答えられる問いが「Why」か「How many」か
最も本質的な違いがここです。定性分析は「なぜその行動を取ったのか」という因果の物語を明らかにします。
たとえば「解約した理由は、機能が足りなかったからではなく、社内で使いこなす人がいなかったから」といった、事前に想定していなかった構造が見えてきます。
一方、定量分析は「どのセグメントで、どの程度の割合で起きているか」を明らかにします。「解約率は従業員50名未満の企業で18%、200名以上で4%」といった形です。
この2つを混同すると、調査が失敗します。「なぜ売れないのか」をアンケートの選択式だけで解こうとすると、用意した選択肢の範囲でしか答えが返ってこないからです。想定外の理由は、自由記述かインタビューでしか拾えません。
違い3|必要なサンプル数が10倍以上変わる
定性分析では、5〜15名程度で主要な意見パターンの8割前後が出そろうとされています。これは「飽和(サチュレーション)」と呼ばれ、新しい発見が出なくなった時点で打ち切るのが一般的です。
対して定量分析では、統計的な信頼性を確保するために最低でも100件、母集団の傾向を誤差5%以内で推定したいなら約384件が目安になります。セグメント別に見るなら、1セグメントあたり30〜50件は欲しいところです。
注意点は、定性分析の結果を「◯%の人が言っていた」と割合で語らないこと。10名中6名が言及したからといって「60%」と表現すると、統計的な裏付けがないまま定量的な結論を出したことになり、意思決定を誤らせます。
違い4|データの集め方が根本的に異なる
定性データは、対話や観察を通じて「その場で深掘りしながら」集めます。デプスインタビュー、フォーカスグループインタビュー(FGI)、行動観察調査、営業同行などが代表的です。
相手の回答に応じて質問を変えられるため、想定外の論点にその場で踏み込めるのが強みです。一方で、聞き手のスキルによって得られる情報の質が大きく変わります。
定量データは、全員に同じ設問を同じ形式で提示して集めます。Webアンケート、ログ解析、CRMやMAツールに蓄積されたデータなどです。条件を揃えることで比較可能性を担保するのが目的です。
実務では、1つのアンケートに選択式(定量)と自由記述(定性)を同居させるのが最も効率的です。回答者の負荷を抑えつつ、数値と理由を同時に取得できます。
違い5|分析プロセスと必要スキルが違う
定性分析のプロセスは、「コーディング→カテゴリ化→構造化→解釈」という流れをたどります。発言に短いラベルを付け、似たラベルをまとめ、カテゴリ同士の関係を図示し、意味を読み取ります。
必要なのは統計知識よりも、先入観を排して読む力と、複数人で解釈をすり合わせる運用設計です。1人で分析すると、その人の仮説を裏付ける発言だけを拾ってしまいがちです。
定量分析のプロセスは、「単純集計→クロス集計→統計処理→検定」という流れです。手順が定型化されているため、Excelや分析ツールで再現できます。
必要なのは、平均・中央値・標準偏差の使い分け、そして「相関と因果は違う」という基本の理解です。相関が高いだけで因果と断定するのは、定量分析で最も多い失敗パターンです。
違い6|コストと期間の構造が違う
定性分析は1件あたりの単価が高いのが特徴です。インタビュー1件で60〜90分、謝礼と文字起こし、分析工数を合わせると、10名規模でも相応の時間とコストがかかります。
ただし、件数が少ないため「小さく早く始める」ことは可能です。既存顧客3名に話を聞くだけでも、仮説の方向性は大きく変わります。
定量分析は初期設計に手間がかかる一方、配信・集計は自動化できるのでスケールします。1,000人に配信しても集計工数はほぼ変わりません。
コスト設計のコツは、定性を「少数・短期」、定量を「多数・仕組み化」で回すことです。定性を大規模にやろうとするとコストが跳ね上がり、定量を単発でやると学習が蓄積しません。
違い7|アウトプットと社内での使われ方が違う
定性分析のアウトプットは、ペルソナ、カスタマージャーニーマップ、顧客の生の声(Voice of Customer)などです。企画会議やクリエイティブ制作の場面で、チームの解像度を一気に上げる働きをします。
定量分析のアウトプットは、グラフ、KPIダッシュボード、統計的根拠のあるレポートです。予算承認や経営会議など、投資判断が必要な場面で威力を発揮します。
最も説得力があるのは、この2つを組み合わせた資料です。「解約率が18%(定量)で、その主因は導入後の社内浸透にある(定性)」という形で示せば、事実と理由の両方が揃った提案になります。
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定性分析・定量分析のメリットとデメリット

違いを理解したうえで、それぞれの得意なことと苦手なことを整理しておきましょう。ここを押さえると、調査設計の失敗が激減します。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 定性分析 | 理由・背景がわかる/想定外の発見がある/少数から始められる | 主観が入りやすい/一般化できない/分析工数が大きい |
| 定量分析 | 客観性・再現性が高い/全体傾向がつかめる/効果測定に強い | 理由がわからない/設問の外は拾えない/回答数の確保が必要 |
定性分析のメリット3つ
定性分析の価値は、数値では絶対に見えない「文脈」を手に入れられることにあります。
メリット1|数字の裏側にある「なぜ」がわかる
ECサイトでカート離脱率が高いとします。定量分析では「離脱率35%」という事実までしか分かりません。
ここでユーザーに話を聞くと、「送料が最後の画面まで表示されないので、金額が変わって不安になった」という具体的な理由が出てきます。改善策が一気に具体化するのは、この瞬間です。
メリット2|想定していなかった仮説が生まれる
選択式アンケートは、作り手が用意した選択肢の範囲でしか答えが返ってきません。逆に言えば、想定外の理由は永久に見つからないということです。
定性分析では、担当者が思いもしなかった利用シーンや、競合として認識していなかったサービス名が出てくることがあります。新規事業や新機能の種は、多くの場合こうした「想定外」から生まれます。
メリット3|少数のデータからでもすぐ始められる
定量調査は回答数が集まるまで結論が出せませんが、定性分析は既存顧客3〜5名に話を聞くだけでも、仮説の方向性を修正できます。
「まず何から手を付ければいいか分からない」という段階では、大規模調査より数件のインタビューのほうが投資対効果は高くなります。
定性分析のデメリット3つ
デメリット1|分析者の主観が入りやすい
同じ発言録でも、読む人によって解釈が変わります。特に「自分の仮説を裏付ける発言だけを拾ってしまう確証バイアス」は最も起きやすい失敗です。
対策は、コーディングを2名以上で独立して行い、後からラベルをすり合わせることです。
デメリット2|結果を全体に一般化できない
10名のインタビュー結果は、あくまで「そういう人がいる」という存在証明であって、「多数派である」という証明ではありません。
ここを混同すると、少数の強い意見に引きずられた施策になります。一般化したいなら、定量調査で検証する工程が不可欠です。
デメリット3|分析工数が大きい
60分のインタビュー1本の逐語録は、約1万字前後になります。10本あれば10万字です。読み込み・ラベリング・整理には相応の時間がかかることを前提に計画を立てましょう。
定量分析のメリット3つ
メリット1|客観性と再現性が高い
同じデータ・同じ手順であれば、誰が分析しても同じ結果になります。この再現性が、社内での合意形成や経営層への報告で強い説得力を生みます。
メリット2|全体像と優先順位がわかる
定量分析は、「どの課題が、どれだけの規模で存在するか」を可視化します。限られたリソースをどこに配分するかを決める場面では、この情報が判断の軸になります。
メリット3|施策の効果測定ができる
施策の前後で数値を比較すれば、効果があったかどうかを定量的に評価できます。ABテストのように、要因を切り分けて検証することも可能です。
定量分析のデメリット3つ
デメリット1|「なぜ」が分からない
これが最大の弱点です。数値は現象を写しますが、原因は写しません。満足度が3.2点だと分かっても、何を直せば4.0になるのかは数字の外にあります。
デメリット2|設問の外側は拾えない
選択式アンケートは、設計時点で「答えの範囲」が確定します。設問設計が甘いと、大量のデータを集めても使えない結果になります。
デメリット3|十分な回答数の確保が必要
回答数が少ないと、そもそも統計的な判断ができません。回答率を高める設計(設問数の削減、スマホ最適化、インセンティブ設計)が前提条件になります。
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【質問項目一覧表】定性・定量で変わる設問設計
定性と定量の違いは、実際の設問の書き方に最もはっきり表れます。同じテーマでも、狙う情報によって設問はここまで変わります。
| 調べたいテーマ | 定量で聞く設問(選択式・尺度) | 定性で聞く設問(自由記述・インタビュー) |
|---|---|---|
| 顧客満足度 | 総合満足度を5段階でお答えください | その点数をつけた理由を具体的に教えてください |
| 解約要因 | 解約理由を以下から選択(価格/機能/サポート/他社移行) | 解約を検討し始めたきっかけの出来事を教えてください |
| 購入決定要因 | 重視した項目を3つまで選択 | 最終的に他社ではなく当社を選んだ決め手は何でしたか |
| 利用実態 | 週あたりの利用回数をお答えください | 直近で使った場面を、時系列で再現して教えてください |
| 認知経路 | 当社を知ったきっかけを選択 | 知ってから問い合わせるまでに何を調べましたか |
| 推奨度(NPS) | 0〜10点で友人に薦める可能性をお答えください | 10点にするには何が足りないと感じますか |
| 機能ニーズ | 各機能の必要度を4段階で評価 | 現在の業務で最も手間がかかっている作業は何ですか |
1つの調査に「数値+理由」をセットで入れるのが基本形
実務で最も再現性が高いのは、「尺度で聞いた直後に、その理由を自由記述で聞く」という2段構えの設問設計です。
満足度を5段階で聞き、続けて「その理由」を自由記述で聞く。これだけで、スコアの推移(定量)とスコアの背景(定性)が同時に手に入ります。
ポイントは、自由記述を全設問に付けないこと。回答者の離脱を招くため、本当に理由を知りたい2〜3問に絞るのが鉄則です。
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定性分析の代表的な手法6選
ここからは具体的な分析手法を見ていきます。まずは定性分析の代表的な6手法です。手法名を覚えることより、「どんな場面で使うか」を押さえることを意識してください。
手法1|コーディング(ラベリング)
コーディングは、発言や記述の一つひとつに短いラベル(コード)を付けていく、定性分析の最も基本となる作業です。他のほぼすべての手法が、この工程を土台にしています。
進め方は3ステップです。①逐語録を意味のまとまりで区切る、②各まとまりに「操作が複雑」「社内浸透の不足」といったラベルを付ける、③同じラベルが付いた発言を集めて出現傾向を見る、という流れになります。
判断基準は「ラベルを読むだけで元の発言が思い出せるか」です。「不満」のように抽象的すぎるラベルは後で使えません。「初期設定の手順が分かりづらい」くらいの粒度が実用的です。
注意点として、最初から完璧なラベル体系を作ろうとしないこと。数件読んで仮のラベルを作り、進めながら統合・分割していくほうが精度が上がります。
手法2|KJ法(親和図法)
KJ法は文化人類学者の川喜田二郎氏が考案した手法で、バラバラの情報を付箋に書き出し、似たもの同士をグループ化して全体構造を可視化します。
使いどころは、チーム全員で同じ理解を作りたい場面です。ワークショップ形式で行うと、参加者が自分の手で分類するため、結果への納得感が段違いに高くなります。
具体例として、営業チームで失注理由100件を付箋化し、グループ化したところ「価格」に見えていた失注の多くが実は「導入後の運用体制への不安」だったと判明する、といったケースがあります。
注意点は、グループに名前を付ける段階で手を抜かないこと。「その他」が最大グループになったら、分類軸が間違っているサインです。
手法3|グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)
GTAは、事前に仮説を持たず、データそのものから理論を組み立てるボトムアップ型の手法です。オープンコーディング→軸足コーディング→選択的コーディングという段階を踏みます。
使いどころは、まだ誰も構造を理解していない新しいテーマです。新規市場の顧客行動や、新しい働き方に対する従業員の受け止め方など、既存のフレームが通用しない領域で威力を発揮します。
判断基準は、「新しいインタビューをしても新しい発見が出なくなったか(理論的飽和)」。ここに到達して初めて、分析を打ち切れます。
注意点は、相応の工数がかかること。スピード優先の案件では、後述するテーマ分析のほうが現実的です。
手法4|テーマ分析(テーマティック・アナリシス)
テーマ分析は、データ全体を通じて繰り返し現れるテーマ(パターン)を抽出する手法です。GTAほど厳密な手続きを求めないため、実務で最も採用しやすい定性分析手法といえます。
進め方は、①データに繰り返し目を通す、②コードを付ける、③コードをまとめてテーマ候補を作る、④テーマを見直して定義する、という流れです。
使いどころは、四半期ごとの顧客の声レビューや、サポート問い合わせの定期分析など、繰り返し実施する分析です。テーマの定義を残しておけば、前回との比較もできます。
注意点は、テーマを増やしすぎないこと。実務で扱えるのは5〜8テーマ程度です。それ以上は施策に落ちません。
手法5|感情分析(センチメント分析)
感情分析は、テキストをポジティブ/ネガティブ/ニュートラルに分類し、感情の傾向を把握する手法です。近年はAIによる自動判定が実用レベルに達しています。
使いどころは、SNSの口コミやレビューサイトなど、大量のテキストを扱う場面です。数千件を人手で読むのは非現実的ですが、自動分類なら傾向の把握とネガティブ投稿の抽出が一気にできます。
判断基準は、「ネガティブ判定された投稿を人が読むところまでをセットにする」こと。スコアだけ見ても改善策は出ません。件数の推移を定量的に追い、内容は定性的に読む、という併用が正解です。
注意点は、皮肉や業界特有の言い回しを誤判定しやすい点です。判定精度は必ずサンプルで検証してください。
手法6|SCAT(4ステップコーディング)
SCATは、比較的少ないデータからでも分析できるよう手順を4段階に定型化した手法です。①注目すべき語句、②言い換え、③背後にある概念、④テーマ・構成概念、という順に記述を抽象化していきます。
使いどころは、インタビュー本数が3〜5本と限られている場合や、分析経験の浅いメンバーが担当する場合です。手順が明確なため、属人性を抑えられます。
注意点は、抽象化を急ぎすぎないこと。②の言い換えの段階で発言から離れすぎると、後の解釈が発言録から検証できなくなります。
▼インタビュー結果の分析方法をさらに詳しく知りたい方はこちら
👉 インタビュー調査の主な分析方法4つ|資料作成のコツと注意点も解説
定量分析の代表的な手法6選

続いて、定量分析の代表的な6手法です。高度な統計知識がなくても、上位3つを押さえれば実務の大半はカバーできます。
手法1|単純集計(GT集計)
単純集計は、設問ごとに回答数と構成比を出す、定量分析の出発点です。「満足16%/やや満足42%/どちらでもない22%…」といった形で全体像を把握します。
ここで確認すべきは、回答の偏りと無効回答の割合です。特定の選択肢に9割が集中している設問は、選択肢設計に問題がある可能性があります。
注意点は、平均値だけで判断しないこと。満足と不満が両極に分かれているデータの平均は「普通」になり、実態を隠してしまいます。分布を必ず見てください。
手法2|クロス集計
クロス集計は、2つ以上の設問を掛け合わせ、属性別の違いを可視化する手法です。実務で最も出番が多い手法といって差し支えありません。
たとえば「満足度×従業員規模」で見ると、全体では72%の満足度でも、従業員50名未満だけ48%に落ち込んでいるといった構造が見えます。ここが施策の打ちどころになります。
判断基準は、各セルのサンプル数が30件以上あるか。それ未満のセルの数値は、参考値として扱うべきです。
手法3|相関分析
相関分析は、2つの数値項目の連動性を相関係数(−1〜+1)で測る手法です。「サポート満足度」と「継続意向」の関係などを調べます。
使いどころは、数ある評価項目のうち、どれが最終的な成果指標に効いているかを絞り込む場面です。改善の優先順位付けに直結します。
最大の注意点は、相関は因果ではないということ。両者に共通の第三の要因が影響しているだけ、というケースは頻繁に起こります。因果を主張するなら、定性分析やABテストによる裏付けが必要です。
手法4|回帰分析
回帰分析は、複数の要因が結果にどの程度影響しているかを数式で表す手法です。「総合満足度は、機能満足度とサポート満足度のどちらにより強く規定されているか」といった問いに答えます。
使いどころは、改善投資の配分を数値根拠で説明したい場面です。「サポートの影響度が機能の1.8倍」と示せれば、予算の議論が進みます。
注意点は、説明変数同士の相関が高すぎると結果が不安定になる(多重共線性)こと。似た内容の設問を大量に投入するのは避けましょう。
手法5|クラスター分析・因子分析
クラスター分析は回答パターンの似た人をグループに分ける手法、因子分析は多数の設問の背後にある共通軸を見つける手法です。
使いどころは、データドリブンにセグメントを作りたい場面です。年齢や業種といった外形的な属性ではなく、「価値観や利用実態でまとまった実質的なセグメント」が得られます。
注意点は、出てきたクラスターに必ず「人が読んで分かる名前」を付けること。クラスター1、2、3のままでは、社内で誰も使いません。
手法6|ABテスト・アクセス解析
ABテストは、2つの案をランダムに出し分け、成果指標の差を検証する手法です。アクセス解析と組み合わせることで、実際の行動データから意思決定できます。
使いどころは、アンケートでは分からない「実際にどう行動したか」を測りたい場面です。人は「使う」と答えても使わないことがあるため、行動データは強力な検証手段になります。
判断基準は、差が偶然の範囲を超えているか(統計的有意性)。数十件の差で結論を出すと、次回は逆の結果が出ます。
▼アンケートの集計・分析手順をまとめて確認したい方はこちら
👉 アンケートの分析方法8選と分析の質を高める方法を徹底解説
定性分析と定量分析を組み合わせる6ステップ

ここからが本記事の核心です。定性と定量は、順番に往復させることで精度が跳ね上がります。実務で再現できる6ステップの型を紹介します。
STEP1|定量データで「どこに問題があるか」を特定する
最初に行うのは、既存の数値データから異常値や落ち込みを見つける作業です。アクセス解析、売上データ、CRMの解約率、NPSスコアなど、すでに社内にあるデータで十分です。
ここでの目的は原因究明ではなく、調べるべき対象を絞り込むこと。「全社的に満足度が低い」ではなく「導入3ヶ月目の中小企業で継続率が落ちる」まで絞れれば、次の定性調査の設計が一気に楽になります。
STEP2|定性調査で「なぜ起きているか」を掘る
絞り込んだセグメントに該当する顧客に、5〜10名を目安にインタビューを行います。ここで重要なのは、仮説を検証しにいくのではなく、まず相手の体験を時系列で語ってもらうことです。
「なぜ使わなくなったのですか」と直接聞いても、多くの人は後付けの理由しか語れません。「最後に使ったのはいつ、どんな場面でしたか」と具体的な行動から入ると、本当の分岐点が見えてきます。
STEP3|定性データを構造化して仮説をつくる
集まった発言をコーディングし、テーマ分析やKJ法でグループ化します。ここで作るのは、「〜だから〜になっている」という因果の仮説です。
ポイントは、仮説を3つ以内に絞ること。10個の仮説を並べても検証しきれません。影響が大きく、かつ自社で手を打てるものを優先します。
STEP4|定量調査で仮説を検証する
作った仮説を、選択式アンケートに落として大規模に検証します。「導入後に社内説明会を実施したか」といった設問を加え、実施有無と継続率のクロス集計を取る、といった形です。
ここで「少数の声」だったものが「全体の傾向」かどうかが判明します。検証で否定されることも珍しくありませんが、それも大きな成果です。誤った施策への投資を防げます。
STEP5|施策を設計し、優先順位を決める
検証された仮説をもとに施策を設計します。判断軸は「影響の大きさ×実行の容易さ」の2軸です。
影響が大きくすぐ着手できるものから実行し、影響は大きいが工数がかかるものは中期計画に回す。この整理をしておくと、社内の合意が取りやすくなります。
STEP6|定量指標で効果を測定し、次のサイクルへ回す
施策実施後は、STEP1で使った指標を再度測定します。同じ指標で追うことが重要で、途中で指標を変えると改善したかどうかが判断できなくなります。
効果が出なければ、STEP2に戻って別の角度から掘り直します。この6ステップを四半期ごとに回す運用にできれば、顧客理解は組織の資産として蓄積されていきます。
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場面別|定性と定量の使い分け方7つのコツ
「結局、自分のケースではどちらから始めればいいのか」に答えます。7つの判断軸を用意しました。
コツ1|「問いの形」で決める
最もシンプルな判断基準です。問いが「なぜ」「どのように」で始まるなら定性、「どれくらい」「どちらが」で始まるなら定量を選びます。
「なぜ解約が増えているのか」は定性、「どのプランで解約が多いのか」は定量です。調査を始める前に、問いを一文で書き出してみてください。書けない場合は、そもそも調査の目的が定まっていません。
注意点として、多くの実務課題は両方の問いを含みます。その場合は「どれくらい」から入って対象を絞り、「なぜ」で掘るのがセオリーです。
コツ2|「調査フェーズ」で決める
プロジェクトの段階によって、必要な分析は変わります。探索フェーズは定性、検証フェーズは定量が基本です。
新規事業の初期や、課題の輪郭すら見えていない段階では、選択肢を作ることすらできません。まず定性で論点を洗い出します。
逆に、仮説がすでにある段階で定性調査を重ねても、「思った通りの声が聞けて安心する」だけで終わりがちです。この段階では定量で白黒つけるべきです。
コツ3|「意思決定の相手」で決める
誰を説得するのかで、必要なデータの種類が変わります。経営層・投資判断には定量、企画チーム・制作現場には定性が効きます。
予算配分を決める会議で顧客の生の声だけを並べても、「それは何人の意見か」と問われて終わります。逆に、クリエイティブの方向性を議論する場でグラフだけ見せても、誰も手が動きません。
両方を1枚にまとめた資料が最強というのは、この理由からです。
コツ4|「使えるサンプル数」で決める
現実的な制約からの逆算も必要です。対象顧客が全体で50社しかいないなら、定量調査で統計的な結論を出すのは困難です。
BtoBのニッチ市場ではよくある状況で、この場合は少数への深いインタビューのほうが情報量が多くなります。無理に数を集めようとして母集団を広げると、対象外の声が混ざって精度が落ちます。
逆にBtoCで数万人の顧客基盤があるなら、定量から入らない理由はありません。
コツ5|「かけられる時間」で決める
1週間で方向性を出さなければならないなら、既存の定量データの再集計+顧客3名への電話ヒアリングが現実解です。
大規模な定量調査は、設計・配信・回収・集計で最低3〜4週間はかかります。時間がない場面で大規模調査を選ぶと、結論が出る頃には意思決定の機会を逃しています。
判断基準は、「いつまでに、何を決めるのか」を先に固定すること。そこから逆算して手法を選びます。
コツ6|「1つの調査に両方を入れる」設計にする
最も効率が良いのは、ひとつのアンケートで定量と定性を同時に取る設計です。選択式で全体傾向を押さえ、要所の2〜3問に自由記述を添えます。
さらに、アンケート末尾に「後日インタビューに協力いただけますか」という設問を入れておくと、定性調査の対象者を確保できます。低スコアをつけた回答者に絞って声をかければ、課題の核心に最短で近づけます。
コツ7|バイアスを設計段階で潰しておく
どちらの分析でも、結果を歪める最大の要因はバイアスです。設計段階で対策を織り込みます。
定性では、誘導的な質問を避け、コーディングを複数人で行うこと。「使いにくいと感じませんでしたか」ではなく「使ってみてどう感じましたか」と聞きます。
定量では、回答者の偏り(アンケートに答える人は元々関与が高い)を意識すること。満足度が高く出やすい構造になっていないか、回収経路を確認してください。
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分析結果を施策につなげる実践事例

ここでは、定性と定量を組み合わせて課題を解いた典型的な実践パターンを3つ紹介します。自社の状況に近いものから読んでみてください。
事例1|SaaS企業の解約対策|「価格が高い」の裏にあった本当の理由
あるBtoB SaaS企業では、解約アンケートの選択式集計で「価格が高い」が解約理由の1位(38%)という結果が出ていました。値下げ検討の議論が始まりかけていた状況です。
そこで解約企業10社にインタビューを実施したところ、「価格そのものではなく、成果が実感できないため価格に見合わないと感じた」という構造が浮かび上がりました。しかも成果を実感できなかった企業には、共通して導入初月の社内キックオフを実施していないという特徴がありました。
この仮説を全顧客への定量調査で検証したところ、キックオフ実施企業と未実施企業で継続率に明確な差が確認できました。打ち手は値下げではなく、オンボーディング設計の見直しに決まりました。
教訓は、選択式の「価格」は多くの場合、真因ではなく症状だということです。自由記述やインタビューを挟まずに値下げしていたら、利益を削りながら解約も止まらない結果になっていました。
事例2|人材サービスの定着率改善|面談メモを定性分析で構造化
人材派遣・人材紹介の領域では、就業者の早期離職が長年の課題です。ある企業では、担当者ごとにバラバラだった面談メモが活用されずに眠っていました。
そこで過去1年分の面談メモをコーディングし、テーマ分析で整理したところ、離職につながる兆候が「業務内容のギャップ」「職場の人間関係」「キャリアの見通し」の3テーマに集約されることが分かりました。
次に、この3テーマを定期アンケートの設問に落として全就業者に配信。スコアが一定を下回った人にだけ担当者が個別フォローに入る運用に変えたところ、フォローの優先順位付けが機能するようになりました。
ポイントは、定性分析で「何を測るべきか」を決めてから、定量で継続的にモニタリングする順番です。いきなり定量から入っていたら、測るべき項目を見誤っていました。
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事例3|ECサイトのCVR改善|行動データと口コミを突き合わせる
あるECサイトでは、アクセス解析でカート投入後の離脱率が高いことが分かっていました。しかし数値だけでは、どこを直せばよいか判断できません。
そこでレビューサイトとSNSの口コミ約2,000件を感情分析にかけ、ネガティブ判定された投稿を人が読み込むという進め方を採りました。すると「送料が最後まで分からない」「配送日の指定ができるか事前に見えない」という記述が集中していました。
これを踏まえてカート画面に送料と最短配送日を先出しするABテストを実施し、行動データで効果を検証。定量→定性→定量という往復が、そのまま改善サイクルになった事例です。
事例に共通する3つの共通点
3事例に共通するのは、①定量で対象を絞ってから定性に入っている、②定性で得た仮説を必ず定量で検証している、③測る指標を施策の前後で変えていないという3点です。
逆に言えば、この3つを守るだけで、分析が「やっただけ」で終わるリスクは大きく下がります。
定性・定量の両立ならヒアリングDXツール「Interviewz(インタビューズ)」がおすすめ!

ここまで読んで、「型は分かったが、実際に回す工数がない」と感じた方も多いはずです。定性と定量の往復は、手作業で行うと相当な負荷になります。
そこで活用したいのが、ヒアリングDXツール「Interviewz(インタビューズ)」です。
Interviewzとは?タップ操作で答えられるヒアリングツール
Interviewzは、チャット形式・タップ操作で回答できるヒアリング/アンケートフォームをノーコードで作成できるツールです。Webサイト、LP、LINE、メールなど幅広い接点に設置できます。
選択式の設問で定量データを取りながら、要所に自由記述を配置して定性データも同時に取得。回答結果はリアルタイムで集計・可視化され、CSVエクスポートやCRM連携も可能です。
定性分析と定量分析の両立にInterviewzが向いている5つの理由
数あるツールの中で、Interviewzが定性・定量の両立に向いている理由を5つに分けて説明します。
理由1|1つのフォームで定量と定性を同時に取得できる
本記事で繰り返し述べた「尺度+理由」の2段構えの設問を、ノーコードで簡単に構築できます。満足度を5段階で聞き、低スコアの回答者にだけ理由を深掘りする分岐設定も可能です。
これにより、全員に長い自由記述を課すことなく、必要な相手からだけ深い情報を得られます。
理由2|分岐設定で「聞くべき人にだけ聞ける」
回答内容に応じて次の設問を出し分ける条件分岐に対応しています。定性調査の対象者選定を、アンケートの中で完結させられるのが大きな利点です。
「解約検討中」と回答した人にだけ理由を掘り下げる、といった設計が数クリックで実現します。
理由3|タップ形式で回答率が落ちにくい
定量分析の前提は、十分な回答数の確保です。Interviewzは入力ではなくタップ中心のUIで設計されているため、スマートフォンでも離脱しにくい構造になっています。
さらにデジタルギフトを組み合わせたインセンティブ設計にも対応しており、回答率の底上げが図れます。
理由4|結果がリアルタイムで可視化される
回答は管理画面で即座に集計・グラフ化されます。単純集計・クロス集計の結果をその場で確認できるため、集計作業に工数を割く必要がありません。
浮いた時間を、自由記述の読み込みという「人にしかできない定性分析」に充てられるのが実質的なメリットです。
理由5|営業・マーケ・人事など部門をまたいで使える
用途はマーケティングリサーチに限りません。営業の初回商談ヒアリング、採用面談、従業員サーベイ、就業者の定着支援など、ヒアリングが発生するあらゆる場面で利用できます。
部門をまたいで同じ基盤を使うことで、顧客理解のデータが組織内に一元的に蓄積されていきます。
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よくある質問(FAQ)

Q1. 定性分析と定量分析、どちらを先にやるべきですか?
A. 既存の数値データがあるなら、定量分析から始めるのが基本です。まず「どこに問題があるか」を絞り込み、その対象に対して定性調査を行うほうが効率的だからです。
ただし、新規事業や新市場の開拓など、そもそも何を測ればよいか分からない段階では定性分析が先になります。判断基準は「調べるべき対象を絞り込めているか」です。
Q2. 定性分析には何名のインタビューが必要ですか?
A. 1つのセグメントにつき5〜15名が目安です。5名前後で主要な意見パターンが出始め、10〜15名で新しい発見がほぼ出なくなる(飽和する)ケースが一般的です。
複数のセグメントを比較したい場合は、セグメントごとに5名以上を確保してください。ただし、時間がなければ3名でも実施する価値はあります。ゼロと3名では情報量が決定的に違います。
Q3. 定量分析には何件の回答が必要ですか?
A. 全体傾向を見るだけなら最低100件、統計的な精度を求めるなら約384件(誤差5%・信頼度95%の目安)が基準になります。
属性別のクロス集計を行うなら、1セグメントあたり30件以上を確保してください。それ未満のセルは参考値として扱い、断定的な結論を出さないことが重要です。
Q4. 定性分析の結果に客観性はありますか?
A. 手順を明確にすれば、客観性は担保できます。コーディングのルールを文書化し、複数人で独立して実施して結果をすり合わせ、分析プロセスを記録に残す。この3点で再現性は大きく高まります。
注意すべきは、客観性と一般化可能性は別物だという点です。手順が客観的でも、少数サンプルの結果を全体に当てはめることはできません。一般化には定量検証が必要です。
Q5. 定性分析に専用ツールは必要ですか?
A. 10件程度までなら、スプレッドシートや付箋で十分です。無理にツールを導入するより、手を動かして読み込むほうが理解が深まります。
50件を超えるあたりから、管理が難しくなります。その規模になったら、データ収集の段階から定量・定性を一元管理できるヒアリングツールの導入を検討するのが現実的です。収集と分析を別々のツールで行うと、突き合わせ作業が負担になります。
Q6. AIに定性分析を任せることはできますか?
A. 要約・分類・感情判定といった一次処理は、AIで大幅に効率化できます。数千件のテキストを人手で読むのは非現実的なため、絞り込みにAIを使う価値は高いです。
一方で、「その発言が事業にとって何を意味するか」という解釈は、事業文脈を知る人にしかできません。AIで候補を絞り、重要なものは人が読む。この分担が現時点での最適解です。
Q7. 定性データと定量データはどう突き合わせればよいですか?
A. 回答者IDで紐づけるのが最も確実です。同一人物のスコア(定量)と自由記述(定性)が結び付いていれば、「低スコアをつけた人は何を書いているか」という分析ができます。
アンケートと自由記述を別々に集めてしまうと、この紐づけができません。設計段階で1つのフォームにまとめておくことを強く推奨します。
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まとめ|定性と定量は往復させてこそ意味がある
定性分析と定量分析の違いと使い分けについて解説してきました。最後に要点を整理します。
- 最大の違いは「答えられる問い」。定性は「なぜ」、定量は「どれくらい」に答える
- 両者は対立ではなく補完関係。定量で対象を絞り、定性で原因を掘り、定量で検証する往復が基本
- 定性は5〜15名、定量は最低100件・理想384件がサンプル数の目安
- 定性の結果を「◯%」と語らない。一般化には必ず定量検証が必要
- 1つのアンケートに「尺度+理由」を入れる設計が、最も効率よく両方のデータを得る方法
- 測る指標は施策の前後で変えない。変えると効果が判定できなくなる
まず取り組むべき次のアクションは、「いま社内にある数値データを見て、落ち込んでいるセグメントを1つ特定すること」です。そのうえで、該当する顧客3〜5名に話を聞いてみてください。
そこで得られた仮説を検証する段階になったら、定量と定性を1つのフォームで同時に取得できる仕組みを整えると、分析サイクルが一気に回り始めます。
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