インサイトマーケティングとは?実施方法やメリット、具体事例を徹底解説
- 2023/08/27
- 2025/06/21

目次
消費者の本音や潜在的な欲求を見抜くことは、現代のマーケティングにおいて大きな価値を持ちます。しかし、表面的なデータだけでは顧客の真の動機や課題は見えてきません。
そこで注目されているのがインサイトマーケティングです。定量・定性調査や行動観察を通じて、顧客自身も気づいていないインサイトを発見し、競争力のある商品やサービスを生み出す手法として多くの企業が導入しています。
そこで今回は、インサイトマーケティングの基本概念や実施方法、メリットや具体事例を徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
インサイトマーケティングの基本的な概念と重要性を解説
インサイトマーケティングとは、顧客の深層心理や潜在的なニーズを探り出し、その理解に基づいてマーケティング戦略を構築する手法です。
ここでいう「インサイト」とは、消費者の購買行動に対する隠れた動機や根拠、つまり消費者自身も気づいていない無意識の心理を指します。
単なるデータ分析や表面的なニーズ把握ではなく、行動観察やインタビューなど多角的なアプローチで洞察を得て、競合他社との差別化や新規市場の創出につなげることができます。
顧客インサイトが注目される理由
現代の市場では、商品やサービスの多様化が進み、顧客のニーズも複雑化しています。その中で、表面的な要望やデータだけでは顧客の購買行動を十分に説明できません。
そこで注目されるのが「顧客インサイト」です。インサイトを把握することで、顧客の本音や深層心理を理解し、より的確なターゲティングやメッセージ設計が可能になります。
インサイトに基づいたマーケティングは、ブランドロイヤルティの向上や競合との差別化、顧客との強い信頼関係の構築に直結するため、多くの企業が重視しています。
インサイトとニーズ・ウォンツの違い
インサイトは「消費者自身も気づいていない隠れた動機や根拠」であり、表面的なニーズ(必要性)やウォンツ(欲求)とは異なります。
ニーズは顧客が自覚している「必要なもの」、ウォンツは「こうしたい・こうなりたい」という欲求を指します。一方、インサイトはそれらの奥にある無意識の心理や行動の背後にある本質的な理由です。
インサイトを捉えることで、競合が気づきにくい独自の価値提案や新たな市場機会を見出せる点が大きな違いです。
インサイトマーケティングを行う目的
インサイトマーケティングを行う目的は、消費者の心に響く価値提案を行い、商品やサービスの差別化やブランドイメージの向上を図ることです。
インサイトマーケティングでは、消費者の表層的な要望や満足度ではなく、本質的な動機や感情にアプローチします。これにより、消費者の購買意欲やロイヤルティを高めることができます。
インサイトと潜在・顕在ニーズの違いとは?
マーケティングにおいて、インサイトという言葉をよく聞きますが、その意味や使い方について正しく理解しているでしょうか?また、インサイトと潜在・顕在ニーズの違いは何でしょうか?
インサイトとは、消費者の心理や行動に隠された深層の動機や欲求を発見することです。インサイトは、消費者自身が気づいていないか、あるいは言語化できないものであることが多く、マーケターが観察や調査を通じて掘り起こす必要があります。
一方、潜在・顕在ニーズとは、消費者が自覚しているかどうかによって分けられるニーズのことです。顕在ニーズは、消費者が自分で認識しているニーズであり、例えば「もっと安い商品が欲しい」「もっと便利なサービスが欲しい」というようなものです。
インサイトと潜在・顕在ニーズの違いは、以下のようにまとめることができます。
インサイトの特徴
- インサイトは、「消費者自身が気づいていない」or「言語化できないもの」
- インサイトは、マーケターが観察や調査を通じて掘り起こす必要があり、潜在・顕在ニーズは、マーケターが消費者に聞くことで把握することができる。
潜在・顕在ニーズの特徴
- 潜在・顕在ニーズは、消費者が自覚しているかどうかによって分けられるニーズ
- 潜在・顕在ニーズは、消費者が自分で認識しているかどうか
インサイトを発見することは、マーケティングにおいて非常に重要です。なぜなら、インサイトは、消費者の本当のニーズや感情を理解することであり、それに基づいて商品やサービスを開発したり、コミュニケーションを行ったりすることで、消費者の満足度やロイヤルティを高めることができるからです。
インサイトマーケティングの実施方法|ステップ4つ
1.目標設定と課題の明確化
インサイトマーケティングの第一歩は、明確な目標設定と課題の特定です。何のためにインサイトを抽出したいのか、どのような顧客課題やビジネス上のゴールを達成したいのかを具体化します。
例えば「新商品開発のために潜在ニーズを発見する」「既存サービスの顧客満足度向上」など、達成すべき成果を明確にすることで、調査設計やデータ収集の方向性が定まります。
目標が明確であればあるほど、プロジェクトメンバー間の認識も揃い、効率的な進行が可能です。
2.データ収集と分析(定量調査・定性調査)
次に、目標に沿ってデータ収集を行いましょう。
定量調査ではアンケートや購買データ、Web解析など数値化できる情報を集め、全体傾向やパターンを把握します。一方、定性調査ではインタビューや行動観察、SNS分析などを通じて、顧客の深層心理や行動の背景を探ります。
これらのデータを多角的に分析し、顧客の表層的な要望だけでなく、無意識の動機や価値観まで深掘りすることが重要です。
3.行動観察・インタビューの活用法
インサイトを深く掘り下げるには、行動観察やインタビューが不可欠です。
行動観察では、顧客が商品やサービスを利用する現場を観察し、言語化されていない課題や行動パターンを発見します。インタビューでは、生活スタイルや購買理由、困りごとなどを丁寧にヒアリングし、自由回答やエピソードから潜在的なインサイトを抽出します。
これらの手法を組み合わせることで、データだけでは見えない「なぜその行動を取るのか」という本質的な理由に迫ることが可能です。
4.インサイト抽出から施策立案までの流れ
収集・分析したデータから、顧客の潜在的な欲求や課題を抽出し、インサイトとして整理しましょう。
抽出したインサイトは、ターゲットごとに深掘りし、どのような価値提供が有効か仮説を立てます。その後、インサイトに基づいた商品コンセプトやマーケティング施策を設計し、プロトタイプやキャンペーンを通じて検証します。
市場投入後もフィードバックやデータを継続的に分析し、施策の改善や新たなインサイトの発見につなげることが、インサイトマーケティングの実践サイクルです。
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インサイトマーケティングを行うメリット3つ
1.顧客理解の深化と競合優位性の確立
インサイトマーケティングを活用することで、顧客の深層心理や潜在的なニーズを把握し、単なる表面的なデータ分析では得られない深い顧客理解が実現します。これにより、顧客一人ひとりに最適な提案が可能となり、競合他社が気づいていない価値を提供可能です。
結果として、他社との差別化が進み、ブランドの競争優位性が高まります。顧客の期待を超える体験を継続的に提供することで、ロイヤルティや満足度の向上にもつながります。
2.商品・サービス開発の成功率向上
顧客インサイトをもとに商品やサービスを開発することで、顧客が本当に求めている価値や体験を的確に提供できるようになります。
表面的なニーズや要望だけでなく、購買行動の背景にある本音や動機を捉えることで、競合との差別化や新市場の創出につながりやすくなるでしょう。
結果として、開発した商品やサービスが市場で受け入れられる確率が高まり、売上や顧客満足度の向上に直結します。
3.効果的なコミュニケーション戦略の実現
インサイトを活用することで、顧客の感情や価値観に響くメッセージ設計やチャネル選定が可能となります。ターゲットごとに最適なアプローチを選ぶことで、広告やプロモーションの効果を最大化できるのがメリットです。
また、感覚や経験に頼らず、データに基づいた戦略を実行することで、マーケティングROIの向上やブランドイメージの強化を実現できます。顧客の共感や信頼を得やすくなり、長期的な関係構築にも寄与するでしょう。
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インサイトマーケティングの実施事例と成功ポイント5選
インサイトマーケティングは、様々な業界や分野で実施されています。ここでは、インサイトマーケティングの成功事例を5つ紹介します。
1. ユニクロ「ウルトラライトダウン」
ユニクロは、「ウルトラライトダウン」を開発する際に、消費者のインサイトに着目しました。ユニクロは、冬場にダウンジャケットを着用する消費者の悩みや不満を調査しました。その結果、以下のようなインサイトが得られました。
- ダウンジャケットは暖かいが、重くてかさばり、動きにくい
- ダウンジャケットは高価で、汚れや破れに気を使う
- ダウンジャケットはデザインが地味で、おしゃれに見えない
これらのインサイトに応えるように、ユニクロは「ウルトラライトダウン」を開発しました。「ウルトラライトダウン」は、以下の特徴を持ちます。
- 軽くてコンパクトで、持ち運びや収納が便利
- 低価格で、カラーやデザインも豊富で、おしゃれに着こなせる
- 高い保温性と撥水性を備えている
「ウルトラライトダウン」は、消費者のインサイトに基づいた商品として、大きな人気と売上を獲得しました。
2. ユニリーバ「アクション5」
ユニリーバは、「アクション5」という男性用のボディスプレーを開発する際に、消費者のインサイトに着目しました。ユニリーバは、若い男性の恋愛や自信に関する悩みや願望を調査しました。その結果、以下のようなインサイトが得られました。
- 若い男性は、女性にモテたいと思っているが、自分に自信がない
- 若い男性は、自分の体臭や汗を気にしているが、香水や化粧品は女性的だと感じる
- 若い男性は、自分の個性や魅力をアピールしたいが、どうすればいいかわからない
これらのインサイトに応えるように、ユニリーバは「アクション5」を開発しました。「アクション5」は、以下の特徴を持ちます。
- 男性用のボディスプレーとして、体臭や汗を抑える効果がある
- 5種類の香りがあり、それぞれに異なるキャッチコピーがついている
- キャッチコピーは、「女性を惹きつける」「自信を与える」「個性を表現する」などのメッセージが含まれている
「アクション5」は、消費者のインサイトに基づいた商品として、若い男性の支持を集めました。
3. プロクター・アンド・ギャンブル「パンパース」
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、「パンパース」という紙おむつを開発する際に、消費者のインサイトに着目しました。P&Gは、赤ちゃんの睡眠や肌荒れに関する親の悩みや不安を調査しました。その結果、以下のようなインサイトが得られました。
- 親は、赤ちゃんが夜中に泣くことで自分も眠れないことに悩んでいる
- 親は、赤ちゃんの肌荒れやかぶれを防ぎたいと思っている
- 親は、赤ちゃんが快適に眠れることで成長や発達に良い影響があると信じている
4.カルビー「フルグラ」
カルビーは、1991年に「フルグラ」という商品を発売しました。「フルグラ」は、オーツ麦やドライフルーツなどの素材を焼き上げたグラノーラで、牛乳やヨーグルトと一緒に食べる朝食用のシリアルです。
カルビーは、「フルグラ」を開発するにあたり、消費者の深層心理や潜在的なニーズを探り出すために、「朝食に関する調査」と「健康に関する調査」を実施しました。その結果、消費者は以下のようなインサイトを持っていることがわかりました。
- 朝食は大切だと思うが、時間がないから手軽に済ませたい
- 朝食は栄養バランスが良いものが良いが、味や食感も重視したい
- 朝食は一日の始まりだから、気分よく食べたい
これらのインサイトに応えるように、「フルグラ」は時間がなくても簡単に準備できるという手軽さと、オーツ麦やドライフルーツなどの健康的な素材を使った栄養バランスの良さと、カリカリとした食感や甘酸っぱい味わいという美味しさを兼ね備えた商品として開発されました。
また、カルビーは、「フルグラ」の販促活動として、「健康」と「美味しさ」を強調する広告や、「手軽さ」と「気分よさ」を強調するパッケージデザインを展開しました。さらに、「フルグラ」を食べることで一日が元気に始まる様子を描いたCMやWeb動画も制作しました。「フルグラ」は、消費者の深層心理や潜在的なニーズに応える商品として大ヒットし、カルビーの主力商品の一つとなりました。
5.カルビーの「じゃがりこ」
カルビーは、スナック菓子の市場で新たな需要を創出するために、「じゃがりこ」を開発しました。じゃがりこは、じゃがいもを細く切って揚げた棒状のスナックであり、カルビーは消費者のインサイトである「手軽に食べられるスナックが欲しい」「ポテトチップスよりもヘルシーなスナックが欲しい」「食感や味わいに変化があるスナックが欲しい」という3つのニーズに応える製品です。
カルビーは、じゃがりこの魅力や楽しみ方を伝えるために、テレビCMやWeb広告などで「じゃがりこは棒だから楽しい」というキャッチコピーを使いました。このキャッチコピーは、消費者の行動や感情に訴えるものであり、インサイトマーケティングの一例と言えます。
▼以下の資料では、ヒアリングに特化した「ヒアリングツール」を10選で比較しています。
ヒアリングツールは、診断コンテンツの作成やチャットボットなどで、ユーザー情報のヒアリングを行うツールです。
類似サービスの比較を行いたい方は、1分で比較できる以下の表を是非ご参考ください。
インサイトマーケティングを実践する際の注意点と課題の解決策
インサイトの見極め方と落とし穴
インサイトを見極める際は、根拠の明確化と客観性が重要です。行動観察やSNS分析など多様なデータソースから情報を集め、数値化できるものは可能な限り数値化し、主観的な判断を避けることが求められます。
一方で、フレームワークに沿って進めても「きれいな文章」にとどまり、本質的なインサイトに至らないケースも多く見られます。また、インサイトの抽出や活用には時間と労力がかかり、リソース不足やスピード感の欠如がビジネスチャンスの逸失につながるリスクも高いです。
そこで、常に最新のトレンドや普遍的な欲求を意識し、複数のインサイトを総合的に活用することが失敗回避のポイントです。
社内共有と運用定着のコツ
インサイトを活用したマーケティング施策は、組織内での共有と運用定着が不可欠です。インサイトの解釈には主観が入りやすく、部門や担当者ごとに認識のズレが生じやすいため、根拠や分析プロセスを明文化し、共通のフレームワークで議論することが重要です。
社内勉強会やワークショップを通じてインサイトの重要性や活用事例を共有し、現場の理解と納得感を高めましょう。また、インサイトに基づく施策の成果やフィードバックを定期的に報告し、改善点を組織全体で共有することで、運用の定着と持続的な活用が実現します。
継続的な改善とPDCAサイクルの回し方
インサイトマーケティングは一度で完結するものではなく、継続的な改善が不可欠です。施策実施後は、顧客データや市場の反応を分析し、仮説の検証と新たなインサイトの発掘を繰り返すPDCAサイクルを回すことが重要です。データの信頼性や最新性を常に確認し、必要に応じて調査手法や分析フレームを見直しましょう。
また、専門家のアドバイスや外部リソースの活用も有効です。こうした継続的な学習と改善を組織文化として定着させることで、インサイトを起点としたマーケティングの成果を最大化できます。
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