プレスリリースの基礎知識|場面別テンプレートや作成方法も解説
- 2026/04/29
- 2026/04/29
目次
「プレスリリースの書き方がわからない」
「自社で発信したいが、テンプレートがなくて手が止まる」
そんな悩みを抱える広報・PR担当者は少なくありません。
プレスリリースは、自社の取り組みをメディアに正確に伝える、最も基本的な広報ツールの一つです。しかし、書き方の正解を体系的に学ぶ機会は意外と少ないのが現状ではないでしょうか。
本記事では、プレスリリースの基礎知識から場面別テンプレート5パターン、実在企業の成功事例、作成5ステップ、よくある失敗と対策、配信ツール比較までを網羅的に解説します。読み終えた頃には、自社で即戦力となる無料テンプレートを手に、自信を持って発信できる状態になっているはずです。
この記事は、以下のような方に向けて書かれています。
- 初めてプレスリリースを書くPR担当者・広報部の若手社員
- 自社で広報体制を整えたい中小企業の経営者・管理職
- プロダクト発表で認知拡大を図りたいスタートアップの代表・CMO
プレスリリースの基礎知識

プレスリリースを書き始める前に、まずは基本的な定義と目的を理解しておくことが大切です。土台となる知識があれば、書き方に迷ったときも立ち返ることができます。
プレスリリースの定義と目的
プレスリリースとは、企業や団体が新商品・新サービス・経営情報・社会的取り組みなどの公式情報を、報道機関に向けて発信する文書のことです。新聞社・テレビ局・Webメディアなどの記者が記事化することを前提とした、客観的で正確な情報提供が求められます。
総務省が公表している「令和6年版 情報通信白書」では、企業のデジタル広報・情報発信の重要性が高まっていることが示されています。SNSやオウンドメディアと並び、プレスリリースは依然として信頼性の高い一次情報として重要な位置を占めているのです。
プレスリリースの目的は、自社の宣伝そのものではなく、メディアを通じて社会に新しい価値や事実を届けることにあります。自社目線の宣伝文句ではなく、第三者目線の事実ベースで書くことが、結果として記事化や認知拡大につながります。
プレスリリース・お知らせ・プレゼン資料の違い

プレスリリースとよく混同される文書に、自社サイトの「お知らせ」やクライアント向けの「プレゼン資料」があります。それぞれ目的・読み手・トーンが異なるため、用途に合わせた使い分けが欠かせません。
お知らせは既存顧客や自社サイト訪問者に向けた情報共有が目的であり、トーンも比較的やわらかくて構いません。一方、プレスリリースはメディア記者という「情報のプロ」が読み手であり、客観的な事実と数値で構成する必要があります。
プレゼン資料はクライアントや投資家に向けた提案・説得が目的で、ビジュアル中心のスライド形式で作成します。プレスリリースは文章中心のA4縦1〜2枚にまとめ、要点が一目でわかる構造にすることが鉄則です。
▼3つの文書の違い比較
- プレスリリース – 読み手:報道機関の記者 / 目的:記事化を促す / トーン:客観・事実ベース / 形式:A4縦1〜2枚
- お知らせ – 読み手:既存顧客・サイト訪問者 / 目的:情報共有 / トーン:親しみやすい / 形式:Web記事・メルマガ
- プレゼン資料 – 読み手:クライアント・投資家 / 目的:提案・説得 / トーン:主観・ストーリー重視 / 形式:スライド10〜30枚
※同じ内容でも、読み手と目的に応じて文書のフォーマットを切り替えることが情報を確実に届けるコツです。
用途を取り違えると、記者の関心を引けないだけでなく、自社の信頼性まで損なうおそれがあります。プレスリリースを書くときは「記者にとって記事化しやすい一次情報か」を常に意識しましょう。
プレスリリースの基本構成8要素

プレスリリースには、業界や場面を問わず共通する基本構成があります。これは記者が短時間で要点を把握するために最適化された型であり、自己流で崩すと採用率が下がるおそれがあります。
初めて書く方は、まずこの8要素を順序通りに埋めるところから始めましょう。型を守ったうえで自社らしさを盛り込むのが、プロの広報担当者に近づく第一歩です。
▼プレスリリースの基本構成8要素
- 発信日 – 文書右上に「2026年4月27日」のように年月日を明記する
- 発信元 – 会社名・所在地を文書冒頭に記載する
- タイトル – 内容が一目でわかるキャッチ(主見出し+副見出し)を配置する
- リード文 – 5W1Hを意識し、3〜5行で要点をまとめる
- 本文 – 背景・特長・データ・コメントなどを項目立てて記載する
- 画像・図表 – 商品写真やロゴ・グラフを挿入し視覚的にも訴求する
- 会社概要 – 設立年・事業内容・代表者名などを簡潔にまとめる
- 問い合わせ先 – 担当者名・電話番号・メールアドレスを明記する
※基本構成は順序も含めて記者間で共通認識となっています。並び順を入れ替えるのは原則として避けましょう。
ここからは、特に重要な5つの要素を一つずつ詳しく見ていきましょう。各要素の役割を押さえることで、テンプレートを使い回す際の精度が大きく上がります。
タイトル
タイトルはプレスリリースの第一印象を決める要素です。記者は1日に数十〜数百本のリリースに目を通すため、タイトルだけで本文を読むかどうかが判断されると言っても過言ではありません。30文字前後を目安に、数字や固有名詞を含めて具体的に書きましょう。
主見出しでインパクトを与え、副見出しで補足情報を伝える二段構えが定石です。「日本初」「業界最大級」などの強調表現を使う場合は、必ず根拠データを本文中に示し、誤認を生まない配慮を徹底しましょう。
リード文
リード文は、本文の冒頭に置かれる要約パートです。5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を3〜5行に凝縮し、これだけ読んでも記事化判断ができる密度で書くのが理想です。
記者は時間に追われており、リード文で価値が伝わらないと本文に進んでもらえないことがほとんどです。結論を先に述べ、後から背景や詳細で補強する「逆三角形構造」を意識しましょう。
本文
本文は、リード文で示した結論の根拠を、項目立てで詳しく説明するパートです。背景・特長・データ・お客様の声・経営者コメントなどを、見出しで区切りながら整理して書きましょう。
1段落あたり3〜5行程度を目安にし、長い文章をだらだら続けないことが重要です。図表や箇条書きを織り交ぜることで、視認性が高まり、記者が必要な情報をすぐに引用できる構造になります。
会社概要
会社概要は、リリース文書の末尾に必ず載せるべき要素です。会社名・代表者名・所在地・設立年・資本金・事業内容・URLなどを5〜7行にまとめます。
記者が初めてあなたの会社を知るケースもあり、会社概要は「どんな企業からの情報か」を判断する重要な手がかりとなります。最新の数値と一致しているか、定期的にメンテナンスしておきましょう。
問い合わせ先
問い合わせ先は、記者からの取材依頼を受ける窓口です。担当者名・部署名・電話番号・メールアドレスを明記し、できれば営業時間も記載しておきましょう。
メディア対応用と一般顧客用の問い合わせ先を分けて記載するのが望ましいスタイルです。広報窓口を一元化することで、対応漏れや情報統制のミスを防ぐことができます。
場面別プレスリリーステンプレート5パターン

プレスリリースは、発信する目的によって構成や強調すべきポイントが異なります。ここでは、特に頻出する5つの場面について、そのまま使えるテンプレート構成を紹介します。
新商品リリース
新商品リリースは、商品の特長と発売日・価格を一目で伝えることが最重要です。記者は「読者にとってのニュース価値」を軸に判断するため、既存商品との違いや市場における位置づけを明確に書きましょう。
特に競合商品との差別化ポイントは、数値や独自技術を交えて具体的に記載することが効果的です。「業界初」「特許取得」などの訴求軸がある場合は、その根拠を必ず添えてください。
商品写真や使用シーンの画像を3〜5枚添付すると、Webメディアでの記事化率が高まる傾向にあります。著作権・肖像権を整理した素材を、高解像度で用意しておきましょう。
▼新商品リリースの構成テンプレート
- タイトル – 「【商品名】を2026年〇月〇日より発売開始 – 〇〇市場の課題を解決」
- リード文 – 商品名・発売日・価格・ターゲット・独自性を5行に凝縮
- 開発背景 – なぜこの商品を作ったのか、市場課題と解決アプローチを記載
- 商品特長 – 機能・スペック・差別化ポイントを箇条書きで3〜5項目
- 市場データ – 業界規模・成長率・競合状況などの第三者データを引用
- 販売概要 – 価格・販売チャネル・初年度販売目標などを明記
- 画像素材 – 商品単体写真・使用シーン・パッケージなど3〜5枚を添付
※発売日の2〜3週間前に配信すると、雑誌の入稿スケジュールにも間に合いやすくなります。
新商品リリースは、商品単体の魅力に加えて、社会的意義や顧客課題の解決という「ストーリー」を盛り込むと記事化率が上がります。商品スペックの羅列で終わらせない構成が重要です。
イベント開催
イベント開催のプレスリリースは、開催日時・会場・参加方法を明確にすることが最優先です。記者が告知記事を書く場合も、参加者が情報を探す場合も、これらの基本情報がすぐにわかる構成にしましょう。
オンライン開催の場合は、配信プラットフォーム名・URL取得方法・録画視聴の可否などもあわせて記載してください。ハイブリッド開催の場合は、オフライン会場の収容人数も明示するとわかりやすくなります。
登壇者の経歴やセッションテーマも、可能な限り具体的に書きましょう。「業界の第一人者」など曖昧な表現ではなく、所属企業名・役職・実績を簡潔にまとめると説得力が増します。
▼イベント開催の構成テンプレート
- タイトル – 「【開催告知】〇〇カンファレンスを2026年〇月〇日に開催」
- リード文 – 開催日時・会場・テーマ・想定参加者数を3〜5行で要約
- 開催背景 – なぜ今このイベントを開催するのか、業界の文脈を解説
- プログラム – 基調講演・パネル・ワークショップの時間割と概要を記載
- 登壇者紹介 – 氏名・所属・役職・略歴を3〜5名分掲載
- 参加方法 – 申込フォームURL・参加費・締切日・定員を明記
- 協賛・後援 – 協力企業や後援団体名をロゴ付きで記載
※開催日の3〜4週間前を初回配信、1週間前にリマインド配信する2段階運用が効果的です。
イベントの場合、初回配信に加えて開催直前のリマインド配信を行うことで、メディア露出を最大化できます。参加申込のピーク日に合わせた配信設計を意識しましょう。
サービス開始
新サービスのリリースは、誰のどんな課題をどう解決するのかを、明確に言語化することが鍵です。サービスはモノと違い無形であるため、利用イメージが湧くような具体例や使い方シーンを盛り込みましょう。
BtoBサービスの場合は導入企業名や想定業種、BtoCサービスの場合は対象ユーザー層を明示します。料金プランは無料トライアルの有無まで含めて、判断材料がそろう情報量に整えましょう。
サービス画面のキャプチャや利用フロー図は、記事の理解度を大きく高めます。3〜4枚程度を目安に、UIの特長が伝わるカットを選定して添付してください。
▼サービス開始の構成テンプレート
- タイトル – 「〇〇向け新サービス『△△』を2026年〇月〇日に提供開始」
- リード文 – サービス名・対象顧客・解決課題・価格・提供開始日を要約
- 市場背景 – 公的データを引用し、対象市場の規模や課題を提示
- サービス特長 – 機能・差別化ポイントを箇条書きで3〜5項目
- 利用シーン – 想定利用者の課題と解決ストーリーを2〜3パターン記載
- 料金プラン – 月額・年額・無料トライアルの内容を表形式で明記
- 今後の展開 – 機能追加ロードマップや海外展開計画など将来像を提示
※サービス開始直後はサポート体制を強化し、初期ユーザーからのフィードバックを次のリリースに活かす循環を作りましょう。
サービスリリースは「初動の認知獲得」が成否を分けます。リリース日に合わせて、自社サイト・SNS・メルマガなどとの連動企画を準備しておくと相乗効果が期待できます。
業務提携
業務提携のリリースは、提携によって新たに生まれる価値を、両社のロゴと並びでわかりやすく訴求することが大切です。単なる発表ではなく、顧客や市場にとってのメリットを言語化しましょう。
提携内容は具体的に書く必要があります。「資本業務提携」「販売代理店契約」「技術提携」など契約形態を明記し、両社の役割分担や提携期間も可能な範囲で公開します。
共同で実施する施策やサービスがある場合は、提供開始時期と対象顧客も明記します。両社のリリースを同日同時刻に配信することで、メディア露出のインパクトを最大化できます。
▼業務提携の構成テンプレート
- タイトル – 「株式会社A社と株式会社B社が業務提携 – 〇〇分野で協業を開始」
- リード文 – 提携日・提携形態・両社の役割・期待効果を要約
- 提携背景 – 業界の課題と、両社の強みが補完しあう必然性を記載
- 提携内容 – 共同開発・販売・マーケティングなど具体的な協業項目
- 提供サービス – 提携によって新たに提供されるサービス・期日を明記
- 両社代表コメント – 各社代表者の意気込みコメントを引用形式で掲載
- 両社概要 – 会社概要を並列で2社分記載
※業務提携リリースは両社の広報担当が事前にすり合わせ、同時配信することで露出効果を最大化できます。
業務提携の発表では、両社の名前を対等に扱う配慮が信頼関係維持の鍵です。文章中の表記順や画像レイアウトまで含めて、丁寧に詰めておきましょう。
資金調達
資金調達のリリースは、調達額・ラウンド・投資家を正確に開示することが第一に求められます。プロ向けの情報は数字の正確性が信頼の源泉となるため、確定した内容のみを記載しましょう。
調達した資金の使途を明示することは、投資家・採用候補者・既存顧客への強いメッセージになります。「採用強化」「プロダクト開発」「海外展開」など、優先度の高い投資領域を3〜4つに絞って書きましょう。
累計調達額や直近の事業数値(売上成長率・契約社数など)も、開示可能な範囲で添えると効果的です。経済産業省が公表しているスタートアップ支援関連の統計を引用し、業界文脈の中で自社の位置づけを示すのも有効です。
▼資金調達の構成テンプレート
- タイトル – 「〇〇株式会社、シリーズ〇で総額〇億円の資金調達を実施」
- リード文 – 調達額・ラウンド・主要投資家・累計調達額を要約
- 事業背景 – 解決している課題と現在の事業数値(KPI)を提示
- 資金使途 – 採用・開発・マーケティング・海外展開など優先順に記載
- 投資家コメント – リード投資家からの推薦コメントを引用形式で掲載
- 代表者コメント – 創業者・CEOによる今後のビジョンを表明
- 採用情報 – 募集ポジション一覧と採用ページURLを添える
※資金調達発表は採用効果も大きいため、リリースと同時に採用ページを強化しておくと応募率が向上します。
資金調達発表は、投資家や採用候補者への信頼形成にも直結します。数値の正確性に加えて、未来のビジョンを語る経営者コメントの質が、リリース全体の印象を大きく左右します。
他社事例3社に学ぶプレスリリースの活用法

実在企業のプレスリリースは、構成・トーン・情報量を学ぶ最高の教材です。ここでは、メルカリ・SmartHR・マネーフォワードという、広報運用の成功例として知られる3社の事例を紹介します。
メルカリ – 数値とビジョンの両立
株式会社メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」を運営する東京証券取引所プライム市場上場企業です。同社のプレスリリースは、月間利用者数や流通総額などの定量データと、循環型社会の実現というビジョン的メッセージを同時に伝えるバランスが秀逸です。
新サービス発表のリリースでは、サービス概要に加えて「リユースが社会に与える環境負荷削減効果」など、社会的意義を必ず添えています。記者にとって記事化しやすい「社会性のある切り口」を提供している好例です。
メルカリのリリース文章は1リリース1テーマを徹底しており、関連する複数の発表があっても別々に配信する方針を採っています。読み手にとって情報が整理されており、記事化のハードルを下げる工夫として参考になります。
同社は公式サイトのニュースルームで過去のプレスリリースを体系的にアーカイブし、メディア記者が引用しやすい環境を整えています。広報インフラ整備の観点でも参考にしたい企業です。
SmartHR – BtoBらしい数値主義
株式会社SmartHRは、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供する国内シェアトップクラスのSaaS企業です。同社のプレスリリースは、契約社数・登録者数・継続率といった事業KPIを毎回明示することで、BtoB領域における信頼性を確立しています。
機能リリース時には、開発に至った顧客の声(具体的な企業名や人数規模)を引用し、課題と解決のセットで提示する構成が特徴的です。導入を検討する企業の担当者が、自社課題と重ねやすい「証拠」として機能しています。
同社は資金調達リリースでも数字の使い方が巧みです。総調達額だけでなく時価総額の推移や採用計画の人数を併記することで、企業としての成長スピードを可視化しています。スタートアップが学ぶべき数値開示の好例です。
BtoB SaaS企業を経営する読者にとっては、SmartHRのリリース文章を月次で確認するだけでも、数値の見せ方や顧客事例の引用方法を体系的に学べます。
マネーフォワード – 業務提携と資金調達のお手本
株式会社マネーフォワードは、家計簿アプリやBtoBバックオフィスSaaSを提供する東京証券取引所プライム市場上場企業です。同社は金融機関や会計ソフトベンダーとの業務提携リリースを定期的に発信しており、提携相手と対等な扱いで両社のメリットを言語化する姿勢が一貫しています。
提携リリースの文中では、両社の代表コメントを必ず併記し、対等なパートナーシップであることを示しています。提携相手企業との関係性を尊重する姿勢が、結果として両社のブランディングにも寄与しています。
同社は資金調達やM&Aの発表時にも、調達額・取得価額・統合計画を明確に開示する方針を貫いています。投資家・既存株主・取引先への透明性が、長期的な企業評価につながる典型例です。
業務提携や資本提携を視野に入れる企業は、マネーフォワードの過去リリースをサンプルとして読み込むことで、自社のリリース品質を一段引き上げることができます。
プレスリリース作成5ステップ

初めてプレスリリースを書く方でも、5つのステップに分けて進めれば迷わず仕上げられます。情報整理→構成→執筆→校正→配信の流れで、確実に進めていきましょう。
ステップ1: 目的とターゲットメディアの明確化
最初に、何を伝えたいのか、誰に伝えたいのかを明確にします。新商品の認知拡大なのか、採用候補者へのブランディングなのかで、選ぶメディアやトーンは大きく変わってきます。
ターゲットメディアは「業界専門誌」「全国紙」「Webメディア」「地域メディア」など、リーチしたい読者像から逆算して選定しましょう。配信ツールに任せきりにせず、自社で取材を依頼したい媒体リストを別途用意することが効果的です。
ステップ2: 5W1Hで情報整理
次に、リリースに盛り込む情報を5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)で整理します。情報が抜け落ちていると記者が記事化できないため、この段階で関係部門に確認しておくことが重要です。
特に「数字」と「固有名詞」は、リリースの信頼性を支える要素です。発売日・価格・契約社数・対象地域などは、確定情報のみを記載し、未確定の項目は配信前に法務・経営層と再確認しましょう。
関係部署が複数にわたる場合は、情報のオーナーを1人に決めて取りまとめると効率的です。広報担当が情報を集約し、誤情報の発信を防ぐ体制を作ることが望ましい運用です。
ステップ3: 構成と執筆
整理した情報を、基本構成8要素に沿って配置していきます。最初にタイトル案を3〜5個つくり、最も訴求力の強いものを選ぶアプローチが効果的です。
本文は逆三角形構造で書きます。結論→根拠→具体例の順を徹底し、最後の段落まで読まなくても要点が伝わる構成を意識しましょう。1文の長さは60〜80文字を目安に、テンポよく読める文章を目指してください。
ステップ4: 校正と社内承認
原稿が完成したら、必ず複数人での校正を行います。広報担当だけでなく、担当事業部・法務・経営層などのチェックを経ることで、誤情報や不適切な表現のリスクを減らせます。
特に固有名詞・数値・日付・URLは重点チェック項目です。発信後の訂正は信頼を損ねるため、配信前のダブルチェック体制を制度として整えることをおすすめします。
ステップ5: 配信と効果測定
配信は、配信代行サービス・自社プレスルーム・メディア個別送信の3つを組み合わせるのが王道です。火曜日〜木曜日の午前10〜11時頃が、メディア記者の閲覧率が高い時間帯と言われています。
配信後は、掲載メディア数・PV数・SNS反応・問い合わせ数などのKPIを記録します。次回リリース時の改善点として蓄積し、自社独自のナレッジに育てていきましょう。
効果測定の結果は、3カ月〜半年に一度経営層に報告することが望ましい運用です。広報活動の投資対効果を可視化することで、社内の理解と予算確保にもつながります。
よくある5つの失敗と対策

初めてプレスリリースを書く現場では、似たような失敗が繰り返されがちです。代表的な5つのパターンを事前に把握し、回避策を仕込んでおきましょう。
失敗1: タイトルが弱い
「新商品発売のお知らせ」「サービス開始のご報告」のような抽象的なタイトルは、記者の目に留まらず本文を読んでもらえません。タイトル単体で内容が想像できず、ニュース価値も伝わらないことが原因です。
原因は、自社目線で書こうとして、読み手である記者の関心を考えていないことにあります。商品名や数字といった具体性、社会的意義や独自性といったニュース性が抜け落ちると、量産型のタイトルになってしまうのです。
対策としては、タイトルに「商品名」「数字」「ニュース性のある表現」のうち2つ以上を必ず入れること、複数案を作って社内で読み合わせを行い相対評価することが挙げられます。30文字以内で要点が伝わるかを基準にしましょう。
失敗2: 事実と意見の混在
「業界最高峰の品質」「圧倒的な使いやすさ」など、根拠のない自社評価を本文に書いてしまう失敗もよく見られます。これでは記者が客観性を疑い、記事化を見送る原因になります。
原因は、社内で日常的に使っている宣伝表現を、そのままリリースにも持ち込んでしまうことです。社内向けプレゼンと社外向けリリースは、求められる文体がまったく異なる点を意識する必要があります。
対策としては、形容詞や副詞を使うときは必ず数値や調査機関名で裏付けることを徹底することです。「業界最大級」と書くのであれば、「〇〇調査による国内シェア〇%」のような根拠を併記しましょう。
失敗3: 専門用語多用
業界内では当たり前の専門用語を、説明なしで使ってしまう失敗もよくあります。記者は業界の専門家ではないため、用語が伝わらないと内容そのものが理解されません。
原因は、自社の仲間内で日常会話している語彙のまま書いてしまうことにあります。書き手は「これくらい当然知っている」と感じても、社外の読者は知らないことが多いという前提に立ち戻りましょう。
対策としては、初出の専門用語には必ずカッコ書きで簡単な説明を添えること、業界外の同僚や家族に下読みしてもらうことが効果的です。中学生でも理解できる表現を目指すと、記事化されたときの読者層が広がります。
失敗4: 連絡先漏れ
意外に多いのが、問い合わせ先の記載漏れや誤記です。記者が取材したくても連絡できなければ、せっかくのチャンスを逃してしまうことになります。
原因は、本文の執筆に集中するあまり、最後に追加する問い合わせ先を機械的に貼り付けてしまうことです。テンプレートをそのまま流用していると、過去の担当者名や旧電話番号が残っているケースも珍しくありません。
対策としては、配信前のダブルチェックリストに「問い合わせ先」を必ず入れること、テスト配信機能で実際にメールを送り受信できるか確認することが挙げられます。広報窓口専用のメールアドレスを用意しておくと運用も安定します。
失敗5: 配信タイミング
金曜日の夕方や、月曜日の早朝、業界の繁忙期に配信してしまうと、記者の目に留まりにくくなる失敗があります。配信ボタンを押す時間によって、露出効果が大きく変わるのです。
原因は、社内承認フローのスケジュール都合で、本来の最適タイミングを逃してしまうことにあります。経営層の最終承認が遅れて配信が金曜深夜にずれ込む、というケースは多くの企業で発生しています。
対策としては、配信日時を逆算して社内フローを設計することが基本です。理想的な配信時間帯は火曜日〜木曜日の午前10〜11時で、業界によっては休祝日明けの午前中も狙い目になります。
配信ツール4選を比較

プレスリリースを効率的に配信するには、配信代行サービスの活用が欠かせません。ここでは主要4サービスの選定観点と特徴を解説します。
ツール選定の観点
配信ツールを比較する際は、価格だけで決めるのは危険です。配信先メディア数・業界カバレッジ・サポート体制・分析機能・操作性など、複数の観点を総合評価しましょう。
無料プランで様子を見るスタートアップから、定期配信が前提の中堅企業まで、自社の配信頻度に合った料金体系を選ぶことが重要です。年間配信本数が10本未満なら都度課金型、月3本以上なら定額プランがコストメリットを出しやすい傾向にあります。
業界によって相性のよい媒体も異なります。BtoBサービスはビジネスメディア中心、BtoC商品はライフスタイル系メディア中心など、自社のターゲット読者がいる媒体に強いツールを選定しましょう。
▼配信ツール選定の5つの観点
- 配信先メディア数 – 一度の配信でリーチできる媒体の総数を確認する
- 業界カバレッジ – 自社業界に強いメディアを多く保有しているかを確認する
- サポート体制 – 原稿チェック・配信タイミング相談などの支援内容を確認する
- 分析機能 – 開封率・PV・SNS反応など効果測定の指標を確認する
- 料金体系 – 月額制・都度課金・年間契約など自社利用頻度に合うかを確認する
※2社の併用も選択肢の一つです。BtoB特化と総合系を組み合わせることでカバレッジを最大化できます。
選定時は、配信実績のサンプル(過去掲載メディア一覧など)を提示してもらうと、自社業界での実力を見極めやすくなります。資料請求の際に必ず確認しましょう。
PR TIMES
株式会社PR TIMESが運営する「PR TIMES」は、国内最大級のプレスリリース配信プラットフォームです。同社公表数値ベースで月間8,000万PVを超える流通量を持ち、IT・スタートアップ・ライフスタイルなど幅広い業界のリリースが集まっています。
料金は月額固定の「ベーシックプラン」と従量課金の「都度課金プラン」があり、配信頻度に応じて選べます。掲載パートナーメディアが多く、SEO効果も高いことから、初めて配信する企業の最有力候補となっています。
共同通信PRワイヤー
共同通信PRワイヤー株式会社が運営する「共同通信PRワイヤー」は、共同通信社グループのメディアネットワークを活用できるサービスです。新聞社・通信社など伝統メディアへの強さに定評があり、地方メディアへのリーチも厚いのが特徴です。
金融・製造業・公共系の発表に強く、信頼性重視の業界で選ばれる傾向があります。Web露出だけでなく紙媒体への記事化を狙う企業に相性のよいツールです。
Value Press
株式会社バリュープレスが運営する「Value Press」は、利用社数の多さで知られる総合配信プラットフォームです。低価格プランから始められるため、スタートアップ・中小企業の利用率が高い傾向にあります。
原稿テンプレートやプレスリリース作成支援が充実しており、初めて配信する企業でも操作に迷いにくい設計です。BtoC商品のリリースで採用されるケースが多く、SNS拡散にもつながりやすいプラットフォームと言えます。
@Press
ソーシャルワイヤー株式会社が運営する「@Press」は、原稿の校正サポートに定評のあるサービスです。配信前にプロの校正担当者が文章をチェックしてくれるため、初めての配信や重要発表時の安心感が高い評価を得ています。
配信先は記者個人を含むメディアリストが整備されており、業種別に細かいセグメント配信ができる点が特長です。校正・配信・効果測定の一気通貫が魅力で、広報経験が浅い企業でも継続運用しやすい設計になっています。
▼Interviewz(インタビューズ)に新機能が追加され、CSSカスタマイズとHTMLタグ埋め込みが可能となりました。これにより、自社ブランドのデザインに合わせた診断・ヒアリングページを最短1日で構築できます。
フォントやカラーの変更、アニメーション追加、外部ツールや分析コードの設置も簡単です。SEO対策やCVR向上、データ活用がスピーディーに行えます。さらに、プレビュー機能で事前確認し即時反映できるため、マーケティング施策の自由度と実行スピードが大幅に向上します。
ぜひ下記の資料から、インタビューズの詳しい機能をご確認ください。
プレスリリースの注意点とメリット・デメリット

プレスリリースは強力な広報ツールですが、すべてのケースで万能というわけではありません。メリット・デメリットを理解したうえで、適切な施策設計を行いましょう。
特に発信後の取り消しが難しいという特性は、SNSや個人ブログとの大きな違いです。一度配信したリリースはWebに半永久的に残るため、内容の正確性と発信タイミングの慎重な検討が欠かせません。
また、メディアに必ず掲載される保証はないという点も理解しておきましょう。配信本数が増えても、ニュース価値が低ければ記事化につながらないため、本数より質を重視した運用が望ましいスタイルです。
▼プレスリリースのメリット5つ
- 第三者視点の信頼獲得 – メディア掲載は広告と異なる客観性を持つ
- SEO効果 – 配信プラットフォームのドメインから自社サイトへの被リンクが得られる
- 広告比でコスト効率 – 1回数万円で多数のメディアに同時配信できる
- 記録性 – 過去のリリースが企業のヒストリーとしてWebに蓄積される
- 採用への波及 – 求職者が企業研究で参照する一次情報として機能する
※掲載は保証されないため、本数の追求より「ニュース価値の高いネタ」をしっかり育てる発想が重要です。
▼プレスリリースのデメリット4つ
- 記事化の不確実性 – 配信しても掲載されない可能性が常にある
- 削除困難性 – 一度配信した内容は基本的に取り消せない
- 制作工数 – 1本作成に5〜10時間程度の工数を要するのが一般的
- 反応の遅効性 – SNS投稿に比べて反響が出るまで数日〜数週間かかる
※デメリットを理解したうえで、SNS・オウンドメディア・広告と組み合わせた多面的な広報設計が望ましいスタイルです。
強みと弱みを正しく理解することで、SNSや広告などの他施策と適切に組み合わせ、相乗効果のある広報運用が可能になります。プレスリリースは万能ではなく「広報ポートフォリオの一部」と捉える視点が大切です。
よくある質問FAQ

プレスリリース運用を始めるうえで、初心者からよく寄せられる質問を5つに整理しました。実務に直結する内容ばかりですので、ぜひ参考にしてください。
Q1. プレスリリースの最適な文字数は?
A4縦サイズで1〜2枚、文字数にして1,500〜2,500文字が目安です。これより短いと情報量不足、長いと記者が読み切れずに離脱する傾向があります。
本文をどうしても3,000文字を超えそうな場合は、別添資料(PDF)に詳細を切り出す運用がおすすめです。リリース本体は要点のみに絞り、深掘り情報は別添で提供する構造にしましょう。
図表や画像をうまく使うことで、文字数を抑えながら情報密度を高めることができます。視覚要素と文字情報のバランスを意識して設計してください。
Q2. 配信の最適な曜日と時間は?
火曜日〜木曜日の午前10〜11時が、最も開封率が高い時間帯と言われています。月曜午前は週次会議で記者が忙しく、金曜午後は週末モードで埋もれやすい傾向があります。
業界によっては独自の繁忙期があるため、ターゲット媒体の編集スケジュールを把握しておくとなお良いでしょう。月刊誌は入稿日の2〜3週間前、Web媒体は配信当日〜翌日、新聞は配信後数時間が記事化のピークです。
配信時間に迷ったら、配信ツールのデフォルト推奨時刻を利用するのも一つの方法です。経験豊富な広報担当者と協議しながら、自社にとってのベストタイミングを見つけてください。
Q3. 個人事業主でも配信できる?
個人事業主でも配信ツールの多くは利用可能です。法人格がなくても、屋号・代表者氏名・事業所所在地が明確であれば登録できる場合がほとんどです。
ただし、内容によっては企業として情報の信頼性を担保しにくいケースもあります。実績や数値の根拠を可能な限り示すことで、個人事業主でもメディア掲載を獲得することは十分に可能です。
規模の大小ではなく、ニュース価値とエビデンスが評価軸となります。社会課題の解決や業界初の取り組みなど、独自性のあるテーマで挑戦してみましょう。
Q4. テンプレートの著作権は?
本記事で紹介しているテンプレートは、プレスリリースの基本構成を整理したものであり、自社の発信に自由に活用していただけます。テンプレート自体に著作権を主張するものではありません。
ただし、他社のリリース文章をそのままコピーすることは著作権侵害にあたるため、必ず構成や表現を自社流にアレンジしてください。参考にする場合も、引用ルールを守った上で活用しましょう。
無料テンプレートを使う場合は、使用条件(クレジット表記の有無など)を必ず確認してください。配信ツール各社が提供するテンプレートは、利用者向けに無償提供されているケースが多いです。
Q5. 効果測定の指標は何を見ればよい?
掲載メディア数・流入数・SNS反応・問い合わせ数の4つが基本指標です。すべてを追うのは難しいため、最初は掲載メディア数と問い合わせ数の2つから始めるのがおすすめです。
配信ツールの管理画面で取得できる開封率・PV数も参考データになります。リリースごとの数値を蓄積し、半年単位で改善ポイントを振り返ることで、自社の勝ちパターンを見つけられます。
定量指標に加えて、メディア記者からの反応コメントも貴重なフィードバックです。次回以降のテーマ選定や構成改善に活かしていきましょう。
まとめ|自社らしい発信で広報力を高めよう
プレスリリースは、第三者視点で自社価値を社会に届ける、最もスタンダードかつ強力な広報ツールです。基本構成8要素を押さえ、場面別テンプレート5パターンを使い分けることで、初心者でも質の高いリリースを作成できます。
メルカリ・SmartHR・マネーフォワードのような実在企業の事例から学び、5つのステップで作成し、よくある失敗を回避し、配信ツールを使いこなす – これらを順に実践すれば、自社の広報水準は確実に上がっていきます。
ぜひ本記事のテンプレートを起点に、自社らしい発信を継続してみてください。継続こそが信頼となり、ブランドの価値となって積み上がっていきます。
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