• TOP
  • ブログ
  • ビジネスヒアリングとは?成果直結の質問例60選とステップ7つを徹底解説
 

blog
診断・ヒアリングDXブログ

ビジネスヒアリングとは?成果直結の質問例60選とステップ7つを徹底解説

SHARE

  • Twitter
  • Facebook
  • Hatena
  • Pocket
  • LINE

「商談で何を聞けばいいのか分からない」「ヒアリングしたはずなのに、提案段階で要件がひっくり返る」——ビジネスヒアリングの質は、受注率・提案精度・プロジェクトの成否をそのまま左右します

本記事では、ビジネスヒアリングの意味と目的といった基礎から、必須質問項目60選、進め方7ステップ、成功のコツ10個、フレームワーク7選、部門別の実践事例までを一気通貫で解説します。

読み終えたときには、「明日の商談で、誰に何をどの順番で聞けばいいか」が具体的な質問文レベルで決まっている状態を目指しました。営業・マーケティング・人事・情報システムなど、BtoB企業で顧客や社内メンバーから情報を引き出すすべての方に向けた実務ガイドです。

著者:Interviewz編集部(運営:LEARNERZ株式会社)

ヒアリング/診断コンテンツのDX領域で200本以上の記事を制作・監修。ノーコードヒアリングツール「Interviewz」の運営で得た現場知見をもとに、BtoBの営業・マーケ・人事の実務に役立つ情報を発信しています。

ビジネスヒアリングとは?意味・目的・混同されやすい言葉との違い

まずは言葉の定義から整理します。ビジネスヒアリングは日常的に使われる言葉であるがゆえに、人によって想定している範囲がバラバラなまま会話が進んでしまうのが実情です。

ここを揃えておくと、社内で「ヒアリングの型」を共有するときの土台になります。

ビジネスヒアリングの定義|「聞く」ではなく「引き出して合意する」プロセス

ビジネスヒアリングとは、業務上の目的を達成するために、相手から必要な情報を体系的に引き出し、内容を相互に確認して合意する一連の対話プロセスを指します。

ポイントは「聞く」で終わらない点です。単に相手の話を聞くだけなら誰にでもできますが、ビジネスの現場で求められるのは「聞いた内容を構造化し、次の意思決定に使える状態に変換すること」です。

たとえば商談で「業務が非効率で困っている」という発言を得たとします。ここで止まればただの雑談ですが、「どの工程が」「月に何時間」「誰が」「いつから」まで踏み込めば、提案の根拠になる情報に変わります。この差がヒアリングの巧拙です。

ビジネスヒアリングの3つの目的(情報取得・信頼構築・合意形成)

ビジネスヒアリングの目的は、大きく次の3つに整理できます。それぞれ狙う成果が異なるため、どれを主目的にするかを事前に決めておくと質問設計がぶれません。

1つ目は情報取得です。相手の現状・課題・要望・制約条件を、後工程(提案・設計・施策立案)で使える粒度まで正確に把握します。

2つ目は信頼関係の構築です。丁寧に聞く姿勢そのものが「この人は自社を理解しようとしている」というシグナルになり、心理的な距離を縮めます。実際、初回商談で受注の可否が大きく傾く要因は、提案内容よりも「理解されている感覚」であることが少なくありません。

3つ目は合意形成です。聞いた内容をその場で要約し、相手の同意を取ることで、後の「言った・言わない」や手戻りを防ぎます。ヒアリングは情報収集ではなく、認識合わせの場でもあるという理解が重要です。

「ヒアリング」と「ヒヤリング」はどちらが正しい?表記のルール

社内文書やヒアリングシートを作るときに迷いがちなのが、「ヒアリング」と「ヒヤリング」の表記ゆれです。結論から言うと、ビジネス文書では「ヒアリング」に統一するのが無難です。

広辞苑をはじめとする主要な国語辞典は見出し語を「ヒアリング」で立てており、官公庁の資料や新聞表記でも「ヒアリング」が主流です。一方の「ヒヤリング」は誤りというわけではなく、古い文書や一部業界では今も使われていますが、少数派です。

社内でヒアリングシートやナレッジを蓄積していく場合、表記が揺れると検索性が落ちるという実務上のデメリットもあります。ドキュメント規程で「ヒアリング」に統一しておくことをおすすめします。

ヒアリングは和製英語|英語では何と言うか(グローバル商談の注意点)

意外と知られていませんが、日本のビジネスで使う「ヒアリング=聞き取り調査」という用法は和製英語です。英語の “hearing” は主に「公聴会」「(法廷での)審問」「聴力」を意味します。

そのため海外の取引先に「Let’s have a hearing」と伝えると、「聴聞会を開かれるのか」と受け取られかねません。外資系企業や英語話者との商談では、目的に応じて次のように言い換えます。

  • discovery call / discovery meeting:営業の初回課題ヒアリング。SaaS営業で最も一般的な言い方です。
  • requirements gathering / requirements definition:システム開発の要件定義ヒアリング。
  • needs assessment:顧客ニーズの把握を主目的とする場合。
  • interview:ユーザーインタビューや採用面談など、相手の語りを深く聞く場合。
  • 1on1 / check-in:社内メンバーとの定期面談。

また「リスニング(listening)」との違いもよく問われます。listening は「意識して聞く」行為そのものを指し、目的をもって情報を引き出すビジネスヒアリングとは概念のレイヤーが異なります。英語資料を作る際は、この使い分けを押さえておくと安心です。

ビジネスヒアリングが活躍する代表的な7つのシーン

ビジネスヒアリングは営業だけのスキルではありません。部門を問わず、相手から情報を引き出す場面すべてが対象です。代表的なシーンは次の7つです。

  • 営業の初回商談・課題ヒアリング:BANT情報と課題構造を把握し、提案の方向性を決める。
  • 要件定義・業務改善のヒアリング:現行業務フロー、既存システム、連携要件を漏れなく洗い出す。
  • Web制作・クリエイティブの制作ヒアリング:目的、ターゲット、トーン、参考事例、公開期日を確認する。
  • 顧客インタビュー・ユーザーリサーチ:購買理由や利用実態から潜在ニーズを抽出する。
  • 人事の評価面談・1on1・退職者面談:本音を引き出し、組織課題の兆候を早期に捉える。
  • 採用面接・候補者ヒアリング:スキルと価値観の適合を、行動事実ベースで確認する。
  • カスタマーサクセスのオンボーディング・定期面談:利用実態と成果実感を継続的に把握する。

いずれの場面でも、「事前に質問設計をしたかどうか」が成果の分岐点になります。行き当たりばったりのヒアリングは、聞き漏れと手戻りを必ず生みます。

BtoBとBtoCで異なるヒアリングの設計思想

同じヒアリングでも、BtoBとBtoCでは設計思想が大きく異なります。BtoBは「組織の意思決定プロセスを解き明かす」ヒアリング、BtoCは「個人の感情と体験を理解する」ヒアリングだと捉えると分かりやすいでしょう。

BtoBでは、目の前の担当者が決裁者とは限りません。窓口担当・現場ユーザー・情報システム部門・決裁者と、関係者が複層的に存在します。そのため「誰が何を判断するのか」を早い段階で地図化する質問が不可欠です。

一方BtoCでは、意思決定者は基本的に本人です。ロジックよりも「なぜそう感じたか」という感情や体験の再現に重心を置き、具体的なエピソードを引き出す質問が有効になります。

▼自社に合うヒアリング項目をすぐに使いたい方はこちら
👉 ヒアリングシート/アンケートテンプレート一覧はこちら

【一覧比較表】ヒアリング・インタビュー・アンケート・リスニングの違い

「ヒアリング」と近い言葉は複数あり、混同したまま設計すると手法選定を誤って必要な情報が取れません。まずは全体像を表で押さえましょう。

4手法の違いが一目で分かる比較表

項目 ヒアリング インタビュー アンケート リスニング
主な目的 業務目的に沿った情報取得と合意形成 意味の理解・インサイト抽出 定量データの収集と傾向把握 相手の話を意識して聴く行為
主導権 聞き手主導(項目に沿って進行) 語り手主導(深掘りは柔軟) 設計者主導(設問固定) 自然な会話の流れ
対象人数 1人〜数十人 数人〜十数人 数十人〜数千人 不特定
取得データ 定性+定性を裏づける定量 定性(発言・文脈) 定量(選択・数値)
所要時間 30〜90分/件 60〜90分/件 3〜10分/件
向いている場面 商談・要件定義・面談 ユーザーリサーチ・UX改善 満足度調査・市場調査 日常のコミュニケーション
代表的な成果物 議事録・ヒアリングシート・提案要件 インタビューレポート・ペルソナ 集計表・グラフ・調査レポート

実務では「アンケートで面を取り、ヒアリングで深さを取る」という組み合わせが最も費用対効果に優れます。全体傾向をアンケートで掴んでから、特徴的な回答者にヒアリングで深掘りする流れです。

BtoBとBtoCのヒアリング比較表

観点 BtoBヒアリング BtoCヒアリング
主な目的 課題・予算・決裁プロセスの確認 個人ニーズ・感情・体験の理解
関係者 複数(窓口・現場・情シス・決裁者) 主に本人(家族が関与する場合あり)
検討期間 長期(数週間〜数カ月) 短期(即決〜数日)
重視される判断軸 ロジック・ROI・リスク低減 共感・体験価値・使いやすさ
質問の重心 業務フロー・数値・意思決定構造 行動エピソード・感情の動き
成果指標 商談化率・受注率・要件変更率 CVR・満足度・NPS

部門別に見るヒアリングの目的と成果指標【独自整理】

ヒアリングの成否を評価するには、部門ごとに「何が改善されたら成功なのか」を定義する必要があります。下表は、実際の導入企業で使われている評価軸を整理したものです。

部門 ヒアリングの主目的 必ず取る項目 成果指標(KPI)
営業 課題と購買プロセスの把握 BANT+競合+成功定義 商談化率・受注率・BANT取得率
マーケティング 潜在ニーズと訴求軸の発見 購買きっかけ・比較検討行動 CVR・リード獲得単価・訴求別CTR
人事 組織課題と個人の状態把握 業務負荷・関係性・キャリア志向 離職率・エンゲージメントスコア
情報システム/開発 業務要件の網羅的な把握 業務フロー・既存システム・連携要件 要件変更率・手戻り工数
カスタマーサクセス 利用実態と成果実感の把握 利用頻度・つまずき箇所・成果 解約率・アップセル率・NPS

▼部門別のヒアリング項目をまとめて確認したい方はこちら
👉 ヒアリング&診断コンテンツの実例集をダウンロード

ビジネスヒアリングの必須質問項目一覧表【10カテゴリ・質問例60選】

ここからは実務で最も使える部分です。ビジネスヒアリングで押さえるべき項目を10カテゴリに整理し、そのまま使える質問文を60個掲載します。

まず全体像|必須質問項目一覧表

# カテゴリ 確認する内容 優先度
1 基本情報 組織体制・担当範囲・ミッション 必須
2 業界・市場環境 市場動向・規制・競合状況 推奨
3 現状の業務フロー 手順・使用ツール・関与人数・工数 必須
4 課題と原因 困りごと・発生時期・根本原因 必須
5 目標・成功定義 達成したい状態・KPI・期限 必須
6 予算・コスト感 予算レンジ・既存コスト・ROI期待 必須
7 スケジュール 導入希望時期・動かせない期日 必須
8 意思決定プロセス 決裁者・稟議フロー・所要期間 必須
9 競合・代替手段 比較検討先・内製の可能性 推奨
10 懸念・リスク 社内の反対意見・過去の失敗経験 必須

初回ヒアリングでは1・3・4・5・6・7・8を最低限カバーし、2・9・10は2回目以降に深掘りする構成が現実的です。

質問例①:アイスブレイク・関係構築フェーズ(6問)

冒頭5分の目的は情報収集ではなく、「話しても大丈夫な場だ」と感じてもらうことです。事前リサーチを踏まえた質問を1つ混ぜると、それだけで姿勢が伝わります。

  • 「御社のIR資料を拝見しました。◯◯事業の直近の手応えはいかがですか」
  • 「本日は60分いただいていますが、最低限お持ち帰りいただきたい情報はありますか」
  • 「◯◯様の部署のミッションを、改めて教えていただけますか」
  • 「普段のお仕事のウェイトは、どのような配分でしょうか」
  • 「直近の業界ニュースで、気になっているテーマはありますか」
  • 「今回お声がけいただいた背景を、差し支えない範囲で伺えますか」

質問例②:現状把握フェーズ(8問)

ここではオープン質問で広く聞き、相手の業務の「地図」を描くことに集中します。いきなり課題を聞かず、まず事実を並べてもらうのがコツです。

  • 「現在の業務フローを、ざっくり最初から最後まで教えていただけますか」
  • 「その工程に関わる部署・メンバーはどなたですか」
  • 「現在お使いのツールやサービスは、どのように使い分けていますか」
  • 「1カ月あたりの件数・処理量はどのくらいですか」
  • 「繁忙期・閑散期のサイクルを教えてください」
  • 「現状の運用で、うまくいっている点はどこですか」
  • 「その業務は、いつ頃から今の形になっていますか」
  • 「マニュアルやルールはどの程度整備されていますか」

質問例③:課題深掘りフェーズ(10問)

ヒアリングの成否を分けるのがこのフェーズです。「困っている」で終わらせず、いつ・どこで・どのくらい・なぜ、まで分解します。

  • 「その中で、最も時間がかかっている工程はどこですか」
  • 「その課題は、いつ頃から発生していますか」
  • 「課題が起きる『典型的な瞬間』を、直近の例で教えていただけますか」
  • 「月あたり、どのくらいの工数・コストがかかっている感覚ですか」
  • 「これまでに試された解決策と、その結果を教えてください」
  • 「うまくいかなかった理由は、どこにあったと思われますか」
  • 「周囲の方も、同じ課題を感じていらっしゃいますか」
  • 「この課題を放置した場合、3カ月後・1年後にどうなりそうですか」
  • 「もう一段詳しく、その背景を伺ってもよろしいですか」
  • 「解決できたら、日々の業務はどう変わりそうですか」

質問例④:目標・成功定義フェーズ(6問)

課題の裏返しが目標とは限りません。「何がどうなったら成功なのか」を相手の言葉で言語化してもらうと、提案の評価軸が明確になります。

  • 「今回の取り組みが成功したと言える状態を、具体的に教えてください」
  • 「その成果を測る指標は、社内では何を見ていますか」
  • 「目標数値は、どのくらいを想定されていますか」
  • 「その目標は、いつまでに達成する必要がありますか」
  • 「成果を報告される相手はどなたですか」
  • 「最低限クリアすべきラインと、理想のラインを分けるとどうなりますか」

質問例⑤:予算・決裁・時期(BANT)フェーズ(8問)

予算や決裁の話は唐突に聞くと警戒されます。「他社事例では〜」というレンジ提示型でクッションを置くのが鉄則です。

  • 「現在、同様の用途にかけている費用感はどのくらいですか」
  • 「他社様では年間◯〜◯万円のレンジが中心ですが、御社のイメージに近いのはどのあたりでしょうか」
  • 「予算はすでに確保済みでしょうか、それともこれから申請される段階でしょうか」
  • 「最終的にGoサインを出される方との相談は、どの段階で必要になりますか」
  • 「稟議のフローと、通常どのくらいの期間がかかるか教えてください」
  • 「過去に類似のサービスを導入された際は、どんなステップを踏まれましたか」
  • 「いつ頃の導入・稼働を想定されていますか」
  • 「動かせない期日(決算・繁忙期・法改正など)はありますか」

質問例⑥:競合・代替手段フェーズ(6問)

競合の存在を聞くのは失礼ではありません。むしろ比較軸を把握できれば、提案の焦点を絞れます

  • 「現在、他にご検討中のサービスや進め方はありますか」
  • 「比較される際に、最も重視される観点はどこですか」
  • 「内製で対応する選択肢は検討されましたか」
  • 「そのまま現状維持という選択肢は、社内でどう評価されていますか」
  • 「他社サービスで『ここは良い』と感じられた点はありますか」
  • 「逆に、これは合わないと感じた点はどこでしたか」

質問例⑦:懸念・リスク確認フェーズ(8問)

受注直前の「ちゃぶ台返し」は、懸念を事前に言語化しておけばほぼ防げます。相手が言いにくいことを、こちらから先に口に出すのが有効です。

  • 「導入にあたって、社内で出そうな反対意見はありますか」
  • 「現場のメンバーからは、どんな声が上がりそうでしょうか」
  • 「セキュリティや個人情報の観点で、確認が必要な点はありますか」
  • 「過去の意思決定で『ちゃぶ台返し』が起きた事例はありますか」
  • 「私が補足資料を用意するとしたら、何が最も有効でしょうか」
  • 「懸念が残っているとすれば、率直にどのあたりでしょうか」
  • 「運用を担当されるのはどなたで、負荷はどの程度見込まれますか」
  • 「導入後にうまくいかなかった場合、どんなリカバリーを想定されますか」

質問例⑧:クロージング・ネクストアクション(8問)

最後は必ず「次に誰が何をいつまでに」を言語化して終わります。ここが曖昧だと、案件は静かに止まります。

  • 「本日伺った内容を要約しますと◯◯・◯◯・◯◯ですが、認識に相違はございませんか」
  • 「補足しておきたい点や、聞き漏れている論点はありますか」
  • 「次のステップとして、何をご用意すればよいでしょうか」
  • 「次回は、どなたにご同席いただくのが望ましいですか」
  • 「次回の打ち合わせは、いつ頃が都合よろしいですか」
  • 「本日の議事録を24時間以内にお送りしますので、ご確認いただけますか」
  • 「社内共有される際に、あると便利な資料はございますか」
  • 「進める・見送るの判断は、いつ頃を想定されていますか」

やってはいけないNG質問と改善例

同じ内容を聞いていても、質問の形を変えるだけで回答の質は大きく変わります。よくあるNG例と改善例を表にまとめました。

NG質問 何が問題か 改善例
「何かお困りごとはありますか?」 抽象的すぎて答えを組み立てられない 「業務の中で最も時間がかかっている工程はどこですか?」
「ご予算はおいくらですか?」 唐突で、値踏みされている印象を与える 「他社様では◯〜◯万円が中心ですが、御社の感覚に近いのは?」
「決裁者はどなたですか?」 直接的すぎて相手の立場を軽視して聞こえる 「最終的にGoサインを出される方とのご相談は必要でしょうか?」
「いつまでに導入したいですか?」 漠然としており、期日が曖昧なまま流れる 「次の四半期での稼働は現実的でしょうか?」
「なぜそうしなかったのですか?」 詰問に聞こえ、防御的な回答を招く 「どんな事情があって、その進め方になったのでしょうか?」
「弊社のサービスはご存じですか?」 自社起点で、相手の関心から離れる 「今回、情報収集を始められたきっかけを伺えますか?」

▼そのまま使えるヒアリングシートを探している方はこちら
👉 初回商談ヒアリングシートテンプレート(営業編)を無料ダウンロード

ビジネスヒアリングの進め方7ステップ

質問項目が揃っても、順番を誤ると相手は身構えます。ここでは初回商談を想定した標準的な7ステップを解説します。

STEP1:事前リサーチと仮説立案(所要60分)

ヒアリングの質は、始まる前の準備で7割が決まります。最低でも60分かけて、企業サイト・IR資料・プレスリリース・採用ページ・SNS・業界ニュースを確認しましょう。

特に採用ページは狙い目です。募集職種と求めるスキルから、その企業がいま何を強化しようとしているかが透けて見えます

リサーチが終わったら「この企業は◯◯に困っているのではないか」という仮説を1〜3個立てます。仮説があるからこそ、当日は検証のための鋭い質問ができます。

STEP2:アイスブレイクとアジェンダ共有(5分)

冒頭で「本日のゴール」「所要時間」「進め方」の3点を共有します。これだけで相手の心理的負担が下がり、質問への回答も具体的になります。

「本日は60分で、御社の現状と課題を伺ったうえで、次回ご提案の方向性をすり合わせられればと考えています」といった一言を入れるだけで十分です。

STEP3:現状把握(オープン質問で広く聞く/15分)

いきなり課題を聞かず、まず業務の全体像を描いてもらいます。「最初から最後まで、ざっくり教えてください」という頼み方が有効です。

ここで相手が使う言葉(社内用語、システム名、部署名)をそのままメモしておくと、後の提案書で「相手の言葉」を使えるようになり、理解されている感覚が一気に高まります。

STEP4:課題の深掘りとニーズの言語化(20分)

全体像が見えたら、「いつから」「なぜ」「何を試したか」「放置するとどうなるか」の4方向で掘ります。特に「これまでに試した解決策と結果」は必ず聞いてください。

過去の失敗を把握しておけば、同じ轍を踏む提案を避けられます。また相手にとっても「そこは分かってくれているんだ」という安心材料になります。

STEP5:予算・スケジュール・決裁者の確認(10分)

課題の話で温度が上がったタイミングで、BANT情報に移ります。順序としては「時期→予算→決裁プロセス」が最も自然です。

時期は答えやすく、時期が決まれば予算の話につながり、予算の話をすれば決裁の話は自然に出てきます。いきなり決裁者を聞くのは避けましょう。

STEP6:要約と認識合わせ(5分)

終盤で必ず「本日伺った内容は◯◯・◯◯・◯◯です。認識に相違はありませんか」と要約します。ここで訂正が入るのは失敗ではなく、むしろ大きな収穫です。

提案書を作った後にズレが発覚すると数時間の手戻りになりますが、この場なら30秒で修正できます。

STEP7:ネクストアクション合意と24時間以内のフォロー

最後に「次に誰が何をいつまでに行うか」を口頭で確認し、24時間以内に議事録をメールで送付します。この一手間が、案件の停滞を防ぐ最も効果的な施策です。

議事録には「伺った内容」「認識している課題」「次回までのアクション」「こちらの宿題」を明記します。相手が社内共有にそのまま使える体裁にしておくと、さらに効果的です。

▼ヒアリングの型を組織で共有したい方はこちら
👉 0からわかるヒアリングシート作成ガイド(営業編)を無料ダウンロード

ビジネスヒアリングを成功させる10のコツ

ここでは、明日の商談からすぐに実践できる具体的な行動レベルのコツを10個紹介します。すべてを一度に実践する必要はありません。まずは1〜3から始めてください。

コツ1:自分の発話比率を30%以下に抑える

ヒアリングが苦手な人ほど、自分が話しすぎています。理想は「相手7:自分3」、少なくとも自分の発話を全体の30〜40%に抑えるのが目安です。

判断基準はシンプルで、オンライン商談を録画して再生し、自分が話している時間を計測すればすぐ分かります。多くの営業担当者は、自己認識より20ポイントほど話しすぎています。

注意点として、単に黙ればよいわけではありません。相づち・要約・質問という3つの発話に絞り、自社サービスの説明は後半に凝縮するのが正しい配分です。

コツ2:オープン質問とクローズド質問を意図的に使い分ける

オープン質問は「どのように」「なぜ」で始まり、相手に自由に語ってもらう質問です。クローズド質問は「はい/いいえ」や選択肢で答えられる質問を指します。

基本設計は「序盤はオープンで拡散、終盤はクローズドで収束」です。序盤にクローズド質問を並べると尋問のようになり、終盤にオープン質問ばかりだと話がまとまりません。

具体例として、序盤は「業務フローを教えてください」、終盤は「では次回は御社の情シス部門の方にもご同席いただく形でよろしいでしょうか」と使い分けます。

コツ3:相手の言葉をリフレーズして確認する

リフレーズとは、相手の発言を自分の言葉で言い換えて返す技法です。「つまり、月末の集計作業が特にボトルネックになっている、ということですね」といった形になります。

効果は2つあります。認識のズレをその場で修正できること、そして「ちゃんと聞いてもらえている」という信頼が生まれることです。

注意点は、単なるオウム返しにしないことです。相手の言葉をそのまま繰り返すだけでは機械的に聞こえます。要点を抽出し、構造化して返すのがリフレーズの本質です。

コツ4:沈黙を恐れず3秒待つ

質問した後、相手が黙ると不安になって次の質問を重ねてしまう——これは最も多い失敗のひとつです。沈黙の3〜5秒は、相手が本音を整理している時間です。

ここで待てるかどうかで、得られる情報の深さが変わります。実際、深い課題や本音は「沈黙のあとの一言」に出てくることが非常に多いのです。

オンライン商談では沈黙がより気まずく感じられますが、「ゆっくりで大丈夫です」と一言添えて待つと自然に間を作れます。

コツ5:仮説を持って臨み、検証する姿勢を取る

「何かお困りですか」と白紙で聞くヒアリングと、「御社の場合、◯◯の工程で属人化が起きやすいと想像しているのですが、いかがですか」と仮説をぶつけるヒアリングでは、得られる情報の質が段違いです。

仮説があると、相手は「Yes/No+補足」という形で答えやすくなり、結果的に多くの情報が出てきます

ただし仮説に固執するのは禁物です。外れたら素直に「認識が違っていました、実際はどうなのでしょう」と切り替える柔軟さが必要です。仮説は当てるためではなく、会話を深めるための道具と捉えましょう。

コツ6:15分に1回、要約と認識合わせを入れる

60分のヒアリングを最後まで走り切ってから要約すると、序盤の内容は記憶が薄れています。15〜20分に1回、区切りごとに小さな要約を挟むのが効果的です。

「ここまでを整理すると、現状は◯◯で、課題は◯◯という理解でよろしいでしょうか」と挟むだけで、相手の頭の中も整理され、次の話が出やすくなります。

コツ7:「なぜ」を「どんな時に」に言い換える

「なぜそうしなかったのですか」という質問は、意図せず詰問に聞こえます。相手は防御的になり、当たり障りのない回答しか返ってきません。

そこで「なぜ」を「どんな時に」「どういう経緯で」「どんな事情があって」に置き換えます。「どんな経緯で、その進め方になったのでしょうか」と聞けば、同じ情報をはるかに安全に引き出せます。

これは人事の面談やハラスメント調査など、センシティブな場面ほど効果が大きいテクニックです。

コツ8:数字とエピソードを必ずセットで取る

「時間がかかっている」という定性情報だけでは提案の根拠になりません。「月40時間」という数字と、「月末に3名が丸2日かけて手作業で突合している」という具体的なエピソードをセットで取ります。

数字はROI試算の根拠になり、エピソードは提案書で相手の共感を得る材料になります。どちらか一方では説得力が半減します。

聞き方は簡単で、定性的な発言が出たら「具体的には、月あたりどのくらいでしょうか」「直近の例で教えていただけますか」と2つ重ねるだけです。

コツ9:事前ヒアリング(非同期)で当日を深掘りに使う

近年増えているのが、商談前にWebフォームやチャット形式で基本情報を先に取得しておく手法です。会社規模・現行ツール・課題の概要といった「聞けば分かること」を事前に済ませます。

これにより、当日60分のうち50分を課題の深掘りと合意形成に使えるようになります。実際に導入企業では、商談前のBANT取得率が大きく改善したケースが報告されています。

注意点は、事前フォームの設問を欲張らないことです。設問は5〜8問、所要2〜3分に収めるのが回答率を落とさない目安です。

コツ10:ヒアリング後24時間以内に議事録を送付する

最後のコツにして、最も費用対効果が高いのがこれです。24時間以内に議事録を送ると、認識のズレを早期に発見でき、同時に「仕事が速い」という印象を残せます

理想は商談終了後30分以内、遅くとも当日中です。翌日以降になると相手の記憶も薄れ、修正のフィードバックが得られにくくなります。

ヒアリング前後で確認すべき14項目チェックリスト

最後に、そのままコピーして社内で共有できるチェックリストを掲載します。ヒアリング前と後の両方で活用してください。

  • 相手の業界・企業情報を60分以上リサーチしたか
  • 課題仮説を1〜3個立てたか
  • 質問項目を事前に文章化したか
  • アジェンダと所要時間を冒頭で共有したか
  • 自分の発話を30〜40%以下に抑えられたか
  • オープン質問とクローズド質問を意図的に使い分けたか
  • 過去の具体的エピソードを引き出す質問を入れたか
  • 定性情報に対して必ず数字を確認したか
  • 沈黙を3秒以上待てたか
  • 15分に1回、要約と認識合わせを入れたか
  • 予算・時期・決裁プロセスを確認したか
  • 社内で出そうな反対意見を聞けたか
  • 次のアクションを「誰が・何を・いつまでに」で合意したか
  • 24時間以内に議事録を送付したか

▼回答率の高い質問設計を学びたい方はこちら
👉 ユーザーからの回答率の高いアンケートの作り方【6つのコツ】を無料ダウンロード

ビジネスヒアリングで使えるフレームワーク7選と選び方

フレームワークは「聞き漏れを防ぐチェックリスト」であり「質問の順番を決める設計図」です。目的に合わないものを選ぶと、かえって会話が不自然になるため、選び方から解説します。

フレームワーク選び方早見表

目的・場面 おすすめフレームワーク 理由
潜在課題を相手に気づかせたい SPIN話法 質問だけで課題の重大性を相手自身に語らせられる
案件の確度を見極めたい BANT 受注可能性を4要素で機械的に判定できる
大企業・複雑な決裁に対応したい MEDDIC 決裁構造とチャンピオンまで押さえられる
市場・競合を含めて整理したい 3C分析 顧客・競合・自社の三面から差別化軸を作れる
業務フローを漏れなく分解したい 5W1H/4W2H 要件定義・業務改善で抜け漏れを防げる
部下・メンバーの内省を促したい GROWモデル 1on1やコーチング型面談に適している
提案の構成に落とし込みたい SCQA ヒアリング内容を提案ストーリーに変換できる

①SPIN話法|質問だけで課題の重大性を認識してもらう

SPINはSituation(状況質問)→Problem(問題質問)→Implication(示唆質問)→Need-payoff(解決質問)の順に質問を重ねる話法です。

最大の特徴は、営業側が「御社にはこの課題があります」と指摘するのではなく、質問を通じて相手自身に課題の深刻さを語ってもらう点にあります。人は他人に指摘された課題より、自分で口にした課題のほうが強く認識します。

実務での使い方は、S「現在の運用を教えてください」→P「その中で手間がかかる点は」→I「それが続くと、月次の締めにどんな影響が出ますか」→N「もし自動化できたら、どんな効果がありそうですか」という流れです。

②BANT|案件確度を4要素で判定する

BANTはBudget(予算)・Authority(決裁権)・Need(必要性)・Timeframe(導入時期)の頭文字です。営業のクオリフィケーション(案件の絞り込み)で最も広く使われています。

4要素のうち2つ以上が不明なまま提案フェーズに進むと、失注または長期停滞のリスクが高いというのが実務上の目安です。CRMの必須入力項目にしておくと、案件の健全性を組織で可視化できます。

注意点として、BANTは「確度を測る」ためのもので、「課題を発見する」フレームワークではありません。SPINで課題を掘ってからBANTで確度を測る、という組み合わせが実践的です。

③MEDDIC|エンタープライズ営業の複雑な決裁に対応する

MEDDICはMetrics(定量指標)・Economic buyer(決裁者)・Decision criteria(意思決定基準)・Decision process(意思決定プロセス)・Identify pain(課題特定)・Champion(社内推進者)の6要素で構成されます。

BANTより粒度が細かく、特に「Champion=社内で自社を推してくれる人」を特定する視点が優れています。大企業向けの高単価商材では、この1点の有無で受注率が大きく変わります。

判断基準としては、決裁に3部門以上が関与する案件、検討期間が3カ月を超える案件ではMEDDICを使う価値があります。逆に中小企業向けの短期案件では、項目が多すぎて運用負荷が上回ります。

④3C分析|顧客・競合・自社の三面で情報を整理する

3CはCustomer(顧客・市場)・Competitor(競合)・Company(自社)の三面から情報を整理する枠組みです。ヒアリングで得た情報を分類する際の受け皿として機能します。

特に有効なのが競合パートです。「どこと比較しているか」「その比較軸は何か」を押さえれば、提案の焦点を絞れます。全機能を説明する提案より、比較軸に絞った提案のほうが圧倒的に刺さります。

⑤5W1H/4W2H|業務フローを漏れなく分解する

要件定義や業務改善のヒアリングでは、When(いつ)・Where(どこで)・Who(誰が)・What(何を)・Why(なぜ)・How(どのように)で業務を分解します。コストが論点になる場合はHow much を加えて4W2Hとします。

この枠組みの価値は、「聞いたつもりで抜けている要素」を機械的に検出できる点にあります。特に「Who(誰が)」と「Where(どのシステム上で)」は抜けやすく、後の手戻り原因になりがちです。

⑥GROWモデル|1on1・コーチング型ヒアリングに使う

GROWはGoal(目標)→Reality(現状)→Options(選択肢)→Will(意志)の順に進める対話モデルです。人事の1on1や評価面談、マネジメント場面で威力を発揮します。

営業ヒアリングとの最大の違いは、「答えを相手の中から引き出す」ことを目的とする点です。上司が解決策を提示するのではなく、本人が選択肢を出し、実行の意志を言語化するまで伴走します。

⑦SCQA|ヒアリング内容を提案ストーリーに変換する

SCQAはSituation(状況)・Complication(複雑化・問題)・Question(問い)・Answer(解答)の構造で、ヒアリング結果を提案書に落とし込むときに使います。

ヒアリングで得た情報をこの4つに当てはめると、「相手の言葉で始まり、自社の提案で終わる」自然なストーリーが作れます。提案書の1〜3ページ目の構成テンプレートとして特に有効です。

▼ヒアリングツールを比較検討したい方はこちら
👉 ヒアリングツール10選の比較資料を無料ダウンロード

ビジネスヒアリングでよくある失敗5パターンと回避策

ここでは、実際の現場で繰り返し起きている失敗を5つ取り上げ、それぞれに具体的な回避策を示します。

失敗1:準備不足で行き当たりばったりになる

最も多い失敗です。事前リサーチをせずに商談に臨むと、Webサイトを見れば分かることを質問してしまい、「うちのことを何も調べていない」という印象を与えます

回避策は、「リサーチ60分・質問項目の文章化」を商談前の必須プロセスとして仕組み化することです。個人の心がけに任せると必ず形骸化するため、CRMの商談登録時に必須チェック項目として組み込むのが確実です。

失敗2:質問を畳みかけて「尋問」になる

質問リストを埋めることが目的化すると、機関銃のように質問を連射してしまいます。相手は「協力している」ではなく「取り調べられている」と感じ、回答が浅くなります

回避策は、3〜4問に1回、相づち・リフレーズ・自分の見解を挟むことです。「なるほど、そこが一番の負担なんですね。実は同業の◯◯社様も同じ悩みを持たれていました」といった一言で、会話は取り調べから対話に戻ります。

失敗3:相手の言葉をそのまま受け取り、深掘りしない

「コストを下げたい」という発言を額面通り受け取ると、価格勝負の提案しか作れません。しかし深掘りすると、実は「コストではなく、経理部門への説明工数を減らしたかった」というケースは珍しくありません。

回避策は、抽象的な言葉が出たら必ず「具体的には?」「直近の例で言うと?」を2回重ねることです。過去の具体的な行動エピソードまで降りると、真の課題が現れます。

失敗4:議事録とフォローを怠り、情報が個人に埋もれる

ヒアリング内容が担当者の手元メモにしか残らないと、異動や退職で情報が丸ごと失われます。組織としての資産にならず、同じ顧客に何度も同じことを聞く事態も起こります。

回避策は、議事録テンプレートの整備と、CRM/SFAへの当日入力ルール化です。フォーマットを固定すれば入力負荷は大きく下がり、後からの検索・分析も可能になります。

失敗5:決裁者を見落として終盤に「ちゃぶ台返し」が起きる

担当者と意気投合し、提案も好感触だったのに、最終段階で「役員がNGと言っている」とひっくり返る——BtoB営業で最も痛い失敗です。

回避策は、初回ヒアリングの段階で決裁者と承認フローを必ず確認すること。加えて「社内で出そうな反対意見はありますか」と先回りして聞き、反論への備えを担当者と一緒に作っておきます。

この2問を初回に入れるだけで、終盤の失注は大きく減らせます。

ヒアリング結果の整理・分析・活用方法

ヒアリングは実施して終わりではありません。取得した情報を構造化し、意思決定に使える形に変換して初めて価値が生まれます

議事録の標準フォーマットと当日中共有ルール

議事録は自由記述にせず、項目を固定したテンプレートにします。推奨する構成は次の5要素です。

  • 基本情報:日時・場所(オンライン/対面)・出席者と役職
  • 伺った現状:業務フロー・体制・使用ツール・数値
  • 認識した課題:優先度順に3点程度
  • 確認事項・宿題:こちらが持ち帰る事項
  • ネクストアクション:誰が・何を・いつまでに

フォーマットが固定されていれば、作成時間は10分程度に収まり、24時間以内の送付が現実的なルールになります

定性データを構造化する3ステップコーディング

複数件のヒアリング結果から傾向を掴むには、質的分析の手法である「コーディング」が有効です。次の3段階で進めます。

第1段階はオープンコーディングです。発言を意味のまとまりごとに切り出し、それぞれに短いラベルを付けます。「月末の突合作業に時間がかかる」→「手作業/月次/工数」といった具合です。

第2段階はアキシャルコーディングで、似たラベルをグループにまとめ、カテゴリを作ります。「手作業」「二重入力」「Excel管理」などが「業務の非効率」というカテゴリに集約されます。

第3段階はセレクティブコーディングで、カテゴリ間の関係を整理し、「なぜその課題が生じるのか」という中心的なストーリーを描きます。ここまで来ると、個社の話が業界共通の課題として一般化できます。

ヒアリング品質を測る5つのKPI【独自指標】

ヒアリングは属人的なスキルと見られがちですが、指標化すれば組織的に改善できます。実務で使いやすい5つのKPIを紹介します。

KPI1:BANT取得率

初回商談で予算・決裁・必要性・時期の4項目すべてを取得できた商談の割合です。目安は70%以上。CRMの入力状況から自動集計できるため、導入負荷が低いのが利点です。

KPI2:発話比率(自社/相手)

オンライン商談の録画から、自社側の発話時間の割合を算出します。目標は30〜40%。会議ツールの分析機能やAI議事録ツールで自動計測できるケースが増えています。

KPI3:要件変更率(手戻り率)

提案・設計フェーズに入ってから要件が変更された案件の割合です。この数値が高い場合、ヒアリング時点での確認不足が疑われます。特に要件定義を伴う案件では最重要指標です。

KPI4:議事録24時間以内送付率

フォローの速さを測る指標です。目標は90%以上。単純な指標ですが、これを可視化するだけで組織全体のレスポンス速度が改善する効果があります。

KPI5:ヒアリング起点の商談化率・受注率

最終的な成果指標です。ヒアリング品質の改善施策を打った前後で比較することで、取り組みのROIを経営に説明できます

CRM・SFAへの記録設計と項目の必須化

ヒアリング内容を活かすには、「自由記述欄に長文を書く」運用から脱却する必要があります。自由記述は書く側の負荷が高く、後から検索・集計もできません。

推奨するのは、BANT/MEDDICの各要素を選択式・数値式の独立項目として必須化することです。これにより案件確度の自動判定やパイプライン分析が可能になります。

組織ナレッジ化の仕組みづくり

個々のヒアリング結果を横断的に見ると、「業界別の典型課題」「業種別の決裁プロセス」「よく出る反対意見と切り返し」といった資産が浮かび上がります。

これらをNotionやConfluenceなどに集約し、新人研修の教材として使えば、立ち上がり期間を大幅に短縮できます。ヒアリングの型が組織知になった瞬間、営業力は個人依存から脱却します。

▼ヒアリング結果の分析・レポート化を効率化したい方はこちら
👉 ヒアリングシート作成ガイド(マーケティングリサーチ編)を無料ダウンロード

部門・業界別のビジネスヒアリング実践事例

ここでは、部門ごとの実践パターンを具体的に紹介します。自部門に近いケースから読むと、すぐに転用できます

事例1:営業部門|事前ヒアリングでBANT取得率を改善

あるBtoB SaaS企業では、初回商談の60分がヒアリングだけで終わり、提案の温度感が上がらないという課題を抱えていました。

そこで商談前にチャット形式の事前ヒアリングを送付し、企業規模・現行ツール・課題の概要・導入検討時期を先に取得する運用に切り替えました。

結果として、当日は課題の深掘りと合意形成に時間を使えるようになり、商談前のBANT取得率が大きく改善。提案の質と初回商談後の次回アポ設定率が向上しました。

事例2:人事部門|評価面談を組織知に変換

ある人材サービス企業では、評価面談の内容が各マネージャーの手元にしか残らず、組織課題の兆候を経営が把握できない状態にありました。

面談前に共通のヒアリング項目(業務負荷・チーム関係性・キャリア志向・不満の有無)をオンラインで回収し、面談ではその回答をもとに深掘りする方式に変更。

これにより部署横断で傾向を可視化でき、離職リスクの高い層への早期フォローが可能になりました。面談の準備時間も短縮されています。

事例3:マーケティング部門|顧客インタビューを週次運用に

顧客インサイトの取得が年1回の大規模調査に依存していた企業では、市場変化への対応が半年以上遅れるという問題がありました。

そこで、既存顧客への短時間ヒアリング(15分・8問)を週次で実施する体制に移行。訴求メッセージの仮説検証サイクルが四半期単位から週単位に短縮され、広告クリエイティブの改善速度が上がりました。

事例4:情報システム・開発部門|要件定義の手戻りを削減

要件定義のヒアリングで「Who(誰が操作するか)」「Where(どのシステム上か)」の確認漏れが頻発し、設計フェーズでの手戻りが常態化していた開発会社の例です。

5W1Hに沿ったヒアリングシートを標準化し、業務フローを図示しながら確認する方式に変更。要件変更の発生率が下がり、プロジェクトの遅延も減少しました。

事例5:カスタマーサクセス|オンボーディングの定型化

導入直後の顧客に対し、担当者ごとにバラバラなヒアリングを行っていた結果、初期設定の不備に気づくのが3カ月後というケースが続いていました。

導入1週間後・1カ月後・3カ月後の3タイミングで共通のヒアリング項目を実施する仕組みに変更したところ、つまずきの早期検知が可能になり、解約率の改善につながっています。

業界別に押さえておきたい注意点

業界特性によって、ヒアリングで気をつけるべき点は異なります。代表的なものを挙げます。

  • IT・SaaS業界:既存システムとの連携要件、SSO・API・セキュリティ要件を初回で確認する。
  • 製造業:現場と本社で課題認識が異なることが多く、両方へのヒアリングが必要。
  • 医療・介護:個人情報・患者情報の取り扱いに関する制約を最優先で確認する。
  • 金融:稟議プロセスが長く、外部委託先の審査要件が発生する前提で時期を見積もる。
  • 人材・派遣:派遣スタッフと派遣先企業の双方にヒアリングが必要で、利害が異なる点に注意。
  • 公共・自治体:年度予算と入札スケジュールに強く縛られるため、期日確認が最重要。

▼派遣・人材業界のヒアリング自動化に関心がある方はこちら
👉 派遣者様定着率向上。対面ヒアリングを自動化する方法を無料ダウンロード

ビジネスヒアリングを仕組み化するなら「Interviewz(インタビューズ)」がおすすめ!

ここまで解説したヒアリングの型は、個人のスキルに依存させると必ず形骸化します。組織で継続的に運用するには、ツールによる仕組み化が現実的な解です。

Interviewz(インタビューズ)とは

Interviewzは、チャット形式の対話型UIでヒアリングを実施できるヒアリングDXツールです。従来のWebフォームのように長い入力欄を並べるのではなく、1問ずつ会話するように進むため、回答者の負担が大幅に軽減されます。

営業の事前ヒアリング、人事の面談前アンケート、マーケティングの顧客調査、Web制作の要件確認など、部門を問わず「聞く業務」全般をカバーします。

ビジネスヒアリングにInterviewzが向いている5つの理由

数あるフォームツールの中で、Interviewzがビジネスヒアリングに適しているのは次の5点が理由です。

理由1:対話型UIで回答率が高い

スマートフォンで完結するチャット形式のUIを採用しており、一般的なWebフォームと比較して高い回答率が期待できます。事前ヒアリングは「回答してもらえなければ意味がない」ため、この差が実務上のインパクトになります。

理由2:分岐ロジックで「その人に必要な質問だけ」を出せる

回答内容に応じて次の質問を出し分ける分岐設定が可能です。全業種・全部門に共通の30問を全員に見せる必要がなくなり、一人あたりの回答時間を短縮できます。

たとえば「従業員100名以上」と答えた企業にだけ決裁フローの詳細を聞く、といった設計が容易に組めます。

理由3:CRM・SFAと連携し、ヒアリング情報を一元管理できる

SalesforceやHubSpotなどの主要CRMと連携し、取得したヒアリング情報を案件レコードに自動で紐づけられます。手入力の転記作業がなくなり、BANT取得率などのKPI集計も自動化できます。

理由4:部門別のテンプレートが用意されている

営業・人事・マーケティング・Web制作・カスタマーサクセスなど、部門別・用途別のヒアリングシートテンプレートが揃っており、ゼロから設計する必要がありません。導入初日から運用を始められます。

理由5:診断コンテンツとしてマーケティング施策にも転用できる

同じ仕組みを使って「◯◯診断」形式のコンテンツを作成でき、リード獲得とヒアリングを同時に実現できます。ヒアリングツールとマーケティングツールを別々に契約する必要がありません。

導入企業で見られる成果と、まず試す方法

導入企業では、商談前のBANT取得率の改善、評価面談の組織知化、顧客インサイト取得の週次運用化といった成果が報告されています。

いきなり全社導入する必要はありません。まずは1チーム・1用途から試すのが失敗しない進め方です。無料デモとトライアルが用意されているため、実際の操作感を確認してから判断できます。

▼まずはサービス内容を詳しく知りたい方はこちら
👉 インタビューズ サービス概要資料を無料ダウンロード

▼実際の操作感を試してみたい方はこちら
👉 インタビューズ 無料ヒアリングデモを体験する

ビジネスヒアリングに関するよくある質問(FAQ)

Q1. ビジネスヒアリングの所要時間は何分が適切ですか?

A. 初回は60〜90分、2回目以降は30〜60分が目安です。30分以下だと深掘りの時間が取れず、表面的な情報しか得られません。

逆に120分を超えると相手の集中力が落ち、後半の情報精度が下がります。長時間必要な場合は、複数回に分割して実施するほうが結果的に情報の質は高くなります。

Q2. 初回ヒアリングで最低限取り切るべき情報は何ですか?

A. 基本情報・現状の業務フロー・主要課題・予算レンジ・スケジュール感・最終決裁者の6項目です。これらが揃えば、次回に精度の高い提案を持ち込めます。

余裕があれば、競合の検討状況と社内推進者(チャンピオン)の有無まで押さえると、案件確度の見立てが大きく改善します。

Q3. オンラインと対面でアプローチは変えるべきですか?

A. 変えるべきです。オンラインでは非言語情報が伝わりにくいため、次の4点を意識してください。

  • カメラは必ずONにする
  • 相づちや表情の反応を、対面より意識的に大きくする
  • 沈黙を恐れず、「ゆっくりで大丈夫です」と添えて待つ
  • 重要ポイントは画面共有で文字化し、認識を揃える

一方で、オンラインには録画による振り返りができるという大きな利点があります。発話比率の計測やナレッジ共有に活用しましょう。

Q4. 質問数は何問くらいが適切ですか?

A. Webフォーム形式の事前ヒアリングなら5〜10問、対面・オンラインのヒアリングなら20〜30問が目安です。

事前フォームで設問が多すぎると回答率が急落します。30問を超える場合は、2段階に分割するか、必須と任意で優先順位をつける設計に変更してください。

Q5. ヒアリングを組織で標準化するには何から始めればよいですか?

A. まずは「ヒアリングシートの標準化」と「議事録テンプレートの固定」の2つから始めるのが最短です。この2つだけで、聞き漏れと情報の属人化は大きく改善します。

次のステップとして、CRMへのBANT必須入力化、発話比率などのKPI計測、優秀な担当者の商談録画を教材化する、という順で広げていくと定着しやすくなります。

Q6. ヒアリング結果はどう経営に活かせますか?

A. 主な活用先は4つあります。①案件確度と売上予測の精度向上、②商品・サービス改善のヒント、③マーケティング施策の訴求軸発見、④営業組織の標準化です。

経営報告に上げる際は、詳細な議事録ではなくサマリー1枚+象徴的なハイライト3〜5件に集約すると、意思決定に使われやすくなります。

あわせて読みたい関連記事

ヒアリング・営業活用(直接的な関連)

アンケート設計・作成

分析・調査レポート

顧客満足度・CX

回答率向上・インセンティブ

診断コンテンツ・ナーチャリング

情報収集・周辺ツール

まとめ|ビジネスヒアリングは「準備・対話・フォロー」で決まる

ビジネスヒアリングは、営業・マーケティング・人事・開発のあらゆる場面で成果を左右する基幹スキルです。才能ではなく、型と仕組みで再現できるスキルである点が最大のポイントです。

本記事の要点を整理します。

  • ビジネスヒアリングとは「引き出して合意する」プロセスであり、単に聞くこととは異なる
  • 必須項目は10カテゴリ。初回は基本情報・業務フロー・課題・目標・予算・時期・決裁者の7つを最優先で押さえる
  • 進め方は7ステップ。特に事前リサーチ60分と、24時間以内の議事録送付が成果を分ける
  • 自分の発話は30〜40%以下に抑え、沈黙を3秒待ち、15分に1回要約する
  • フレームワークは目的で選ぶ。課題発見はSPIN、確度判定はBANT、大型案件はMEDDIC
  • ヒアリングは指標化できる。BANT取得率・発話比率・要件変更率・議事録送付率で組織的に改善する
  • 属人化を防ぐ鍵はテンプレート化とツール活用。個人の心がけに任せると必ず形骸化する

次のアクションとして、まずは「自社のヒアリングシートを1枚、標準化する」ことから始めてください。テンプレートを使えば30分で着手できます。

そのうえで、事前ヒアリングの自動化やCRM連携まで進めれば、ヒアリングは個人技から組織の仕組みへと変わります。

▼すぐに使えるヒアリングシートを入手する
👉 ヒアリングシートテンプレート集を無料ダウンロード

▼サービス内容を詳しく知る
👉 インタビューズ サービス概要資料を無料ダウンロード

▼お役立ち資料をまとめて確認する
👉 インタビューズ お役立ち資料一覧はこちら

▼無料で試してみる
👉 無料トライアルのお申し込みはこちら

▼導入について相談する
👉 インタビューズ お問い合わせフォームはこちら

Interviewz(インタビューズ)では、ヒアリング体験をDX化し、質の高い情報をスピーディーに収集、顧客・ユーザー理解を深め、サービスのあらゆるKPIの改善を可能にします。テキストタイピングを最小化した簡単かつわかりやすいUI/UXと、収集した声をノーコードで様々なシステムに連携し、ユーザーの声を様々なビジネスプロセスで活用することで、よりビジネスを加速させることが可能です。

Interviewz(インタビューズ)をご活用いただくことで以下のことが解決できます。

• 新規お問い合わせ、相談数の向上
• ヒアリングの内容の最適化から受注率の向上
• ヒアリングコスト(人件費・タイムコスト)の削減
• 既存顧客のお問い合わせのセルフ解決(サポートコストの削減)
• サービス/プロダクトのマーケティングリサーチ
• 既存顧客、従業員のエンゲージメント向上
• データ登録負荷の軽減
• サイトにおけるユーザーの行動情報のデータ蓄積

Interviewzをご利用いただいた多くのお客様で、ビジネスによけるあらゆるKPIの数値改善を可能にしています。

▼Interviewz(インタビューズ)の主な活用方法

• 総合ヒアリングツール
• チャットボット
• アンケートツール
• カスタマーサポートツール
• 社内FAQツール



Interviewzの機能一覧|総合的なヒアリング活動を網羅


Interviewzでは、下記のような総合的なヒアリング活動を支援する機能を揃えております。

以下では、まずはInterviewz(インタビューズ)を使って操作性や機能を確かめたい方向けに、無料でInterviewzをデモ体験いただくことが可能です。気になる方はぜひご体験ください。

ヒアリングDX・アンケートのデジタル化のご相談は下記より日程をご調整ください。

こちらの記事もオススメです

人気記事ランキング

お役立ち資料

カテゴリー

お気軽にご相談ください!