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ハラスメント調査ヒアリングの完全マニュアル|被害者・加害者・関係者への面談方法【人事向け】

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目次

「社内でハラスメントの通報があったが、どう調査を進めればよいか分からない」

「被害者ヒアリングで二次被害を生まないか不安」

「加害者が否認した場合、どう聞き取ればよいのか」

「調査報告書の書き方が分からない」

これらはハラスメント対応の現場で人事担当者が直面する悩みです。

ハラスメント調査は、組織の信頼と従業員の安全を守る重要業務である一方、進め方を誤ると二次被害・訴訟リスク・組織不信を招く繊細な領域です。

本記事では、パワハラ防止法をはじめとする法令の概要・ハラスメント種別の整理・調査体制の構築・被害者/加害者/関係者へのヒアリング項目と質問例計40問・事実認定のプロセス・調査報告書の作り方・再発防止策・FAQまで、人事担当者向けに実務目線でまとめて解説します。

なお、ハラスメント調査は法的判断や訴訟リスクが絡むため、本記事の内容は一般的な進め方の参考としてご活用いただき、実務では必ず社内法務・顧問弁護士・社会保険労務士など専門家と連携することを強く推奨します。

著者:Interviewz編集部(運営:LEARNERZ株式会社)

ヒアリングDXツール「Interviewz」を累計5,000社以上で提供。リード数268%向上・ヒアリングコスト90%削減・サポートコスト半減の実績をもとに、アンケート設計と統計分析の知見を発信しています。

ハラスメント調査の重要性と人事担当者の役割

ハラスメント調査は単なる「事実確認」ではなく、被害者の保護・組織の健全化・法令遵守を同時に実現するプロセスです。

ハラスメント調査が組織にとって重要な5つの理由

  1. 被害者の安全と健康を守る:早期対応で深刻な健康被害や離職を防ぐ
  2. 法的義務の履行:パワハラ防止法等で事業主の措置義務が定められている
  3. 組織の信頼維持:対応の透明性と迅速性が従業員エンゲージメントを左右する
  4. 訴訟リスクの低減:適切な調査と記録が後の紛争で有利な証拠となる
  5. 再発防止と組織風土改善:調査を通じて課題を可視化し、組織改革に繋げる

パワハラ防止法・男女雇用機会均等法・労働施策総合推進法の概要

ハラスメント対応の根拠となる主な法令は以下のとおりです。

法令

主な対象

事業主の義務

労働施策総合推進法(パワハラ防止法)

パワーハラスメント

相談窓口の整備・調査・再発防止

男女雇用機会均等法

セクハラ・マタハラ

相談窓口・防止措置・調査

育児・介護休業法

ケアハラスメント

防止措置・調査

公益通報者保護法

通報者の保護

通報者への不利益取扱の禁止

これらの法令はいずれも事業主に「相談に応じ、適切に対応する体制の整備」「事実確認の調査」「被害者への配慮」「再発防止」を求めています。法令の細部や最新改正は、必ず厚生労働省の公式情報や顧問弁護士に確認してください。

公益通報者保護法とハラスメント調査の関係

2022年改正の公益通報者保護法により、従業員301人以上の事業者には内部通報窓口の整備と通報者保護の体制構築が義務化されています。ハラスメント調査においても、通報者の匿名性・秘密保持・不利益取扱の禁止は最重要原則です。

人事担当者が押さえるべき調査の基本原則

ハラスメント調査における3つの基本原則は次のとおりです。

  • 中立性:被害者・加害者・関係者のいずれにも先入観を持たず、事実ベースで判断する
  • 秘匿性:調査内容と関係者の身元を、業務上必要な範囲外に漏らさない
  • 迅速性:通報受付から初動対応まで、可能な限り早く動く(通報後1週間以内に初動が理想)

調査の全体タイムライン

調査全体のタイムラインの目安は以下のとおりです。事案の複雑さによって変動しますが、過度に長引かせると被害者の心理負荷が高まるため、計画的な進行が必要です。

フェーズ

目安期間

主な作業

通報受付・初動

1〜3日

通報内容の確認・暫定措置

調査計画策定

3〜7日

調査チーム編成・ヒアリング計画

被害者ヒアリング

1〜2週間

詳細聴取・心理ケア

加害者・関係者ヒアリング

1〜2週間

中立的事実確認

事実認定

1〜2週間

証言の検討・該当性判断

報告書作成・通知

1週間

結果の文書化・当事者通知

再発防止策

継続

教育・組織改革

ハラスメントの種類と判断基準

ハラスメントは複数の類型があり、それぞれの該当性判断基準を理解しておくことが調査の出発点になります。

パワーハラスメント(6類型)

厚生労働省はパワハラを次の6類型に整理しています。

  1. 身体的な攻撃(暴行・傷害)
  2. 精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・暴言)
  3. 人間関係からの切り離し(隔離・無視・仲間外し)
  4. 過大な要求(業務上不要・遂行不可能な命令)
  5. 過小な要求(能力に見合わない仕事・仕事を与えない)
  6. 個の侵害(私的なことへの過度な立ち入り)

セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントは「対価型」と「環境型」に大別されます。

  • 対価型:性的言動への対応を理由に不利益(降格・解雇等)を被るケース
  • 環境型:性的言動により職場環境が悪化し、就業に支障が生じるケース

加害者・被害者の性別を問わず、また同性間でも該当します。

マタニティハラスメント・ケアハラスメント

妊娠・出産・育児・介護を理由とする不利益取扱や、それらを苦痛に感じさせる言動が該当します。「妊娠を理由とした降格」「育休取得への嫌がらせ」などが典型例です。

モラルハラスメント

精神的な暴力により相手を傷つける行為で、パワハラと重なる部分も多いです。「無視」「皮肉」「嘲笑」「人格否定」など、見えにくい形で継続するケースが特徴です。

カスタマーハラスメント

顧客・取引先からの著しい迷惑行為(暴言・脅迫・過剰要求・土下座強要等)を指します。厚生労働省は対策マニュアルを公開しており、企業の従業員保護義務として近年急速に注目が高まっています。

ハラスメント該当性の判断3要件

特にパワハラの判断では、次の3要件を満たすかが基準となります。

  1. 優越的な関係を背景とした言動である
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動である
  3. 労働者の就業環境が害される(身体的・精神的苦痛)

3要件すべてを満たすかをケースごとに丁寧に検討します。グレーゾーンの判断は弁護士・社労士など専門家への相談が望ましい領域です。

▼ハラスメントは「通報が来てから動く」では遅すぎる場合が多く、定期的な社内サーベイで早期にシグナルを拾う仕組みが効果的です。下記の資料では、率直な意見を引き出すアンケートの設計ポイントを6つのコツで解説。匿名性を担保しながら回答率を高める設計に活用できます。

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ハラスメント調査の準備と体制構築

調査の質はヒアリング前の準備で大きく決まります。体制構築を疎かにすると、二次被害・情報漏洩・調査の中立性低下を招きます。

通報窓口の設置と運用ルール

通報窓口は社内窓口(人事・コンプライアンス)と社外窓口(弁護士事務所等)の2系統を用意するのが望ましい運用です。窓口の連絡方法・受付時間・対応フロー・秘密保持の方針を従業員に明示し、定期的な周知を行いましょう。

調査委員会の構成と外部弁護士の活用

調査委員会の標準的な構成は、人事責任者・コンプライアンス担当・労働組合代表・外部弁護士の4者程度です。事案の重大性・利害関係に応じて、外部の専門家(弁護士・社労士・臨床心理士)を加えることで、中立性と専門性を担保できます。

調査チームの中立性確保(利害関係者の除外)

調査担当者が当事者と利害関係を持つ場合(同部署・近い人間関係等)、必ず別の担当者にバトンタッチします。中立性が疑われると、後に調査結果そのものの信頼性が揺らぎます。

二次被害を防ぐための環境整備

被害者ヒアリングは特に二次被害のリスクが高い場面です。

  • 個室・防音性の高い部屋を用意する
  • 同性の同席者を選択可能にする
  • 一度に長時間続けない(60〜90分で区切る)
  • 被害者本人の希望時間・場所を尊重する
  • ヒアリング前に「無理に話す必要はない」と伝える

録音・録画の取り扱いと同意取得

録音・録画は必ず事前に同意を取得します。同意なき録音は信頼関係を損なう上、法的なリスクも生じます。記録の保管期間・アクセス権限・廃棄方針を明確にし、書面で本人と確認することが望ましい運用です。

機密保持と情報管理の徹底

調査関係者全員と機密保持の誓約書を交わします。情報共有はNeed-to-know(知る必要のある人のみ)を徹底し、社内のファイル・メール・チャットでの管理ルールを定めます。

被害者ヒアリングの項目と質問例【15問】

被害者ヒアリングはハラスメント調査の中で最も繊細な場面です。二次被害を生まない配慮と、必要な事実確認を両立させる設計が求められます。

ヒアリング冒頭の信頼関係構築フレーズ

冒頭の3〜5分は、本人の安心感を作る時間に使います。

  • 「お話しいただくこと、感謝します」
  • 「ここでお話しいただいた内容は、調査に必要な範囲外には共有されません」
  • 「お辛い場面では、休憩や中断もいつでもおっしゃってください」
  • 「ご本人のペースで構いません」

事実関係の聴取(質問例5つ)

  • 何が起きたのか、できる範囲で時系列に教えていただけますか
  • いつ頃から続いていますか(最初の出来事・頻度)
  • 場所・時間帯・周囲に他の方はいらっしゃいましたか
  • 具体的な発言・行為があれば、覚えている範囲で教えてください
  • メール・チャット・録音などの記録は残っていますか

心理的・身体的影響の確認(質問例3つ)

  • 現在のお気持ち・体調はいかがですか
  • 業務や日常生活への影響はありますか
  • 医療機関の受診や休職をご検討されていますか

周囲の証人・証拠の有無(質問例2つ)

  • その場面を見ていた方はいらっしゃいますか
  • 後で相談された方や、同様の被害を見聞きされた方はいますか

過去の同様事例の確認(質問例2つ)

  • 加害者とされる方から、過去にも類似の行為を受けたことはありますか
  • 他の方も同じような被害を受けていると聞いたことはありますか

本人の希望(質問例3つ)

  • 今後、どのような対応を希望されますか(処分・配置転換・休職・継続勤務等)
  • 加害者とされる方との接触をどう望まれますか
  • 私たちの調査に対して、心配なことや希望はありますか

二次被害を防ぐための配慮表現とNG質問例

NG質問

問題点

改善例

「なぜすぐに言わなかったのですか?」

被害者を責める印象

「お話しするまでに時間がかかった背景があれば教えてください」

「あなたにも原因があったのでは?」

二次被害

使わない(質問自体を排除)

「気にしすぎではないですか?」

矮小化・否定

使わない

「本当の話ですか?」

疑念を示す

「事実関係を整理したいので、もう一度経緯を確認させてください」

二次被害となる質問は、調査の信頼性を根底から崩します。担当者は事前に必ず研修を受けるか、外部専門家の同席をご検討ください。

▼15問の質問項目を整理した直後、これを実務で再現可能なシートに落とし込みたいと感じた方も多いはずです。下記のテンプレ集は業界横断のヒアリング項目を体系化した資料で、ハラスメント調査の質問項目を組み立てる際の「型」としても応用いただけます。

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加害者ヒアリングの項目と質問例【15問】

加害者ヒアリングは、中立性を保ちながら事実を引き出す高度な対話が求められます。「加害者」と決めつけた態度ではなく、「相手方」「対象者」として事実確認のスタンスで臨むのが原則です。

加害者ヒアリング開始時の説明事項

開始時に必ず説明する4点は次のとおりです。

  • ヒアリングの目的(事実確認のためであり、現時点で結論を出すものではない)
  • 守秘義務と公平性の方針
  • ご本人の弁明・反論を聞かせていただく場であること
  • 後日、追加ヒアリングや書面提出をお願いする可能性があること

事実関係の聴取(質問例5つ)

  • ◯◯さんから、◯月◯日の出来事についてご相談を受けています。経緯をお話しいただけますか
  • 当時の状況を、ご記憶の範囲で時系列に教えてください
  • どんなご発言・行動をされましたか
  • そのときの周囲の状況(他のメンバー・場所・業務状況)はどうでしたか
  • 当時、ご本人にどんな意図や背景がありましたか

行為の経緯・背景・意図の確認(質問例3つ)

  • 過去にも同様の場面はありましたか
  • 業務上の指導・コミュニケーションとしての必要性はどう考えていますか
  • 相手方から不快感を伝えられた経験はありますか

加害者の認識と他者の認識のギャップ確認(質問例3つ)

  • ご自身の発言・行為が、相手方にどう受け止められたと思われますか
  • 同じ場面に居合わせた他のメンバーは、どう感じたと思いますか
  • ご自身として、振り返って気になる点はありますか

否認・反論・逆ギレへの対応スクリプト

加害者が否認した場合、感情的な反論があった場合の対応の基本は次のとおりです。

  • 「ご本人の認識を理解させていただきました」と受け止める
  • 「相手方の認識と一致しない点があるため、追加で事実確認を進めさせていただきます」と中立スタンスを伝える
  • その場で結論を出さない・押し問答にしない
  • 必要に応じて、関係者ヒアリングや証拠確認に進める旨を伝える
  • 反論内容は必ず記録に残す(否認・反論も重要な情報)

逆ギレや威圧的態度に出られた場合は、ヒアリングを一時中断し、後日改めて実施することも選択肢です。

加害者ヒアリングで避けるべきNG質問

NG質問

問題点

「◯◯さんを困らせたのではないですか?」

結論を先取りした誘導

「あなたがしたのは事実ですよね?」

自白を強要する印象

「弁解は結構です」

弁明権の侵害

「処分は確実ですから」

中立性の放棄・違法のおそれ

中立性を欠いた質問は、後に処分の妥当性が争われる際に大きな弱点になります。

関係者・目撃者ヒアリングの項目と質問例【10問】

関係者ヒアリングは、被害者・加害者双方の証言を補完する重要な工程です。

関係者選定の基準と人数の目安

選定基準は次のとおりです。

  • 当該行為の現場に居合わせた可能性が高い
  • 当事者と利害関係が弱く客観性が見込める
  • 双方の主張に対し中立な立場にある

人数の目安は3〜5名程度。多すぎると情報漏洩リスクが高まり、少なすぎると証言の偏りが残ります。

客観的事実の聴取(質問例5つ)

  • ◯月◯日の◯◯について、当日の状況を覚えている範囲で教えてください
  • そのとき、どのような会話・行動がありましたか
  • 関係者の様子(表情・声のトーン)で気付いたことはありますか
  • 普段から、その場面に類似する光景はありましたか
  • 今回の件について、後日両者から相談を受けたことはありますか

関係者の匿名性と心理的安全性の確保(質問例3つ)

  • ヒアリングの内容は、業務上必要な範囲外には共有されません
  • ご証言により、業務上不利益を受けることはありません
  • お話しいただける範囲で構いません

アンケート調査(全社/部署)の活用(質問例2つ)

事案によっては、部署内アンケート・全社サーベイで補強情報を集めます。

  • 過去に職場で不快な言動を目にしたことがあるか
  • 通報窓口の認知度・利用しやすさをどう感じるか

匿名化と統計処理を徹底し、特定の個人を不当に名指しできない設計が必須です。

関係者ヒアリングでよくある「忖度」への対処

加害者が上位職の場合、関係者が忖度して証言を控えるケースがあります。対策として、(1) 外部窓口・外部弁護士のヒアリングを併用、(2) 匿名アンケートで補強、(3) 「証言による不利益取扱の禁止」を明示、(4) 複数関係者の証言を突合させる、の4点が有効です。

ヒアリング記録と事実認定のプロセス

ヒアリング後の事実認定は、調査結果の妥当性を決定づける最重要工程です。

ヒアリング録の作成ルール

ヒアリング録には、(1) 日時・場所・出席者、(2) 発言内容(可能な限り発言通り)、(3) 質問者の質問内容、(4) 確認できた事実と確認できなかった事実の区別、(5) 本人による内容確認の署名、を記載します。

証言の信頼性評価の5基準

証言の信頼性は次の5基準で評価します。

  1. 一貫性:時系列・前後関係に矛盾がないか
  2. 具体性:発言・行為の詳細が再現可能なレベルで語られているか
  3. 客観的裏付け:メール・記録・他者証言と整合するか
  4. 動機:証言者に虚偽の動機があるか(利害関係)
  5. 直接性:本人が直接見聞きしたか、伝聞か

事実認定の進め方とハラスメント該当性の判断

事実認定は、(1) 客観的事実の確定、(2) 当事者の主張の整理、(3) 該当性3要件への当てはめ、(4) 結論、の順で進めます。判断に迷うグレーゾーン事案は、必ず弁護士・社労士に相談し、社内単独で結論を出さない運用が安全です。

グレーゾーン事案の判断ポイント

業務指導との境界が曖昧な事案では、(1) 業務上の必要性、(2) 言動の相当性(表現・場所・継続性)、(3) 被害者の受容性、(4) 業界・社会通念、を総合的に判断します。

認定が困難な場合の対応

証拠が不十分で事実認定が困難な場合でも、「ハラスメントの事実は確認できないが、職場環境改善のために配置転換・研修を実施」など、職場環境改善の観点での対応は可能です。「白黒つかない=何もしない」ではない点を押さえましょう。

▼事実認定はケースごとに判断が分かれる繊細な工程で、他社事例から学ぶ価値が大きい領域です。下記の実例集では、ヒアリング設計で組織課題の可視化に成功した企業の事例を業種別にまとめています。社内サーベイや通報窓口の設計の参考になります。

【無料DL】ヒアリング&診断コンテンツの実例集

調査報告書の作成と結果通知

調査結果は文書化し、関係者に通知することで初めて調査が完結します。

ハラスメント調査報告書の構成と必須記載事項

調査報告書の標準的な構成は次のとおりです。

  1. 事案の概要(通報日・通報内容)
  2. 調査体制(調査委員会の構成・期間)
  3. 調査方法(ヒアリング対象者・実施日)
  4. 事実認定の結果
  5. ハラスメント該当性の判断
  6. 措置内容(被害者対応・加害者対応・再発防止)
  7. 添付資料(ヒアリング録・関係資料)

当事者・関係者への結果通知の方法

通知は、(1) 被害者へ:認定結果・実施措置・今後のフォロー方針、(2) 加害者へ:認定結果・措置内容・不服申立ての手続、(3) 関係者へ:調査が完了した旨と機密保持の再確認、をそれぞれ書面で行うのが標準です。

プライバシーに配慮した情報開示の範囲

被害者・加害者・関係者の身元や具体的発言は、開示範囲を最小限に絞ります。経営層への報告では一部マスキングを行うなど、誰がどこまで情報にアクセスできるかを設計しておきます。

報告書テンプレートと記載例

報告書には事実と評価を明確に分離して記載します。「事実(認定された事実)」と「評価(該当性判断)」を別セクションにすることで、後の不服申立てや訴訟リスクに耐える文書になります。

経営層・取締役会への報告フォーマット

経営層への報告は、(1) 事案概要、(2) 認定結果、(3) 措置内容、(4) 再発防止策、(5) 法的・レピュテーションリスク評価、の5項目をA4 1〜2枚で簡潔に整理するのが効果的です。

調査後の対応と再発防止策

調査の本当のゴールは「処分を下すこと」ではなく「同じ事案を再発させない組織を作ること」です。

被害者へのフォローアップ

被害者への継続的なフォローには、(1) 配置転換・業務調整、(2) 産業医・カウンセラーの紹介、(3) 復職支援、(4) 1〜3カ月ごとの近況確認、が含まれます。事案終了後も6カ月〜1年程度のフォロー体制を維持することが望ましい運用です。

加害者への懲戒処分の判断基準

懲戒処分は事実認定された行為の重大性・継続性・反省の度合いを総合的に評価して決定します。

処分の段階

該当例

戒告・注意

軽微・初発・改善意欲が高い

減給・出勤停止

中程度・継続性あり

降格

重大・管理職としての適性に疑義

諭旨退職・懲戒解雇

極めて重大・複数被害・改善見込みなし

処分の妥当性は労働契約法・就業規則・過去の処分事例との整合性が問われるため、必ず弁護士に相談してください。

加害者への教育・再教育プログラム

懲戒処分とは別に、ハラスメント研修・コミュニケーション研修・産業医面談などの再教育プログラムを実施します。「処分して終わり」ではなく行動変容を促す設計が、再発防止に直結します。

組織全体での再発防止研修と啓発

全社研修・管理職研修・新入社員研修・eラーニング・経営層からのメッセージ発信など、複数のチャネルで継続的に啓発します。年1回以上の研修実施が標準です。

通報窓口・コンプライアンス制度の見直し

通報件数・対応時間・通報者満足度をKPI化し、定期的にレビューします。「通報しても何も変わらない」と思われたら、窓口は機能しません。

ハラスメント対策のPDCAサイクル

ハラスメント対策は、(1) Plan(防止策の策定)、(2) Do(運用・研修)、(3) Check(通報状況・サーベイで効果測定)、(4) Act(改善)、を年単位で回します。経営層・労使協議会・取締役会レベルでの定期報告を制度化するのが望ましい運用です。

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ハラスメント調査に関するよくある質問(FAQ)

最後に、現場でよく寄せられる質問にQ&A形式でお答えします。

Q1. 調査開始から完了までの期間の目安は?

単純な事案で1〜2カ月、複雑な事案で3〜6カ月が一般的です。過度に長引かせると被害者の心理負荷が増すため、計画的に進めることが重要です。一方、性急に結論を出して認定を誤ると訴訟リスクが高まるため、バランスが求められます。

Q2. 匿名通報への対応はどうすべき?

匿名通報も原則として無視せず、可能な範囲で初動調査を行います。具体性が乏しい場合は、部署内のサーベイなどで補強する方法もあります。ただし、匿名通報のみを根拠に処分を下すことはできないため、慎重な対応が必要です。

Q3. 関係者が口を割らない場合の対処法は?

(1) 外部窓口・外部弁護士による聞き取り、(2) 匿名アンケート、(3) メール・チャット記録の確認、(4) 「証言による不利益取扱の禁止」の明示、を組み合わせます。それでも事実認定が困難な場合は、認定保留のうえ職場環境改善策(配置転換・研修等)を実施する選択肢があります。

Q4. 加害者が外部役員・取引先の場合は?

内部者と同様の手続を取れない場合があるため、必ず顧問弁護士と連携します。取引先の場合は、加害行為の事実を伝えたうえで、対応を取引先に求める交渉や、被害者の業務調整・接触遮断などの保護措置を優先します。

Q5. 訴訟リスクを最小化するための注意点は?

(1) 中立性の徹底、(2) 記録の網羅性、(3) 手続の適正(弁明機会の付与・反論機会の提供)、(4) 処分の妥当性(過去事例との整合性)、(5) 弁護士関与、の5点を確実に押さえることが重要です。

Q6. リモートワーク下でのハラスメント調査の進め方は?

オンライン会議システムでのヒアリングが基本となります。録音・録画の同意取得を徹底し、画面共有でヒアリング項目を見せながら進めると認識ずれを防げます。ただし、被害者の心理状態によっては対面実施を選択肢として残すことが推奨されます。

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ハラスメント調査は、通報受付・アンケート・ヒアリング・記録・報告書作成という複数工程の積み重ねです。アナログ運用は、情報漏洩リスクが高く、記録の一元管理も困難です。

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  1. 対話型UIで高回答率:匿名通報・社内サーベイで紙・Excel比1.5倍以上の回答率
  2. 柔軟な分岐ロジック:ハラスメント種別や回答内容に応じて質問を出し分け、回答負荷を最小化
  3. セキュアな情報管理:アクセス権限管理・暗号化通信・ログ保存でコンプライアンス要件に対応

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まとめ

ハラスメント調査のヒアリングは、被害者の保護・加害者の弁明機会の確保・組織の信頼維持を同時に実現する繊細なプロセスです。本記事で紹介した法令の概要・ハラスメント類型・体制構築・被害者/加害者/関係者へのヒアリング項目と質問例計40問・事実認定のプロセス・調査報告書の作り方・再発防止策を起点に、自組織の対応体制を見直してみてください。

調査の本当のゴールは「処分を下すこと」ではなく「同じ事案を再発させない組織を作ること」です。調査→報告→処分→再発防止のサイクルを丁寧に回し、従業員が安心して働ける職場づくりに繋げていきましょう。

繰り返しになりますが、ハラスメント調査は法的判断や訴訟リスクを伴うため、社内法務・顧問弁護士・社会保険労務士など専門家との連携を強く推奨します。本記事は一般的な進め方の参考としてご活用ください。

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