NPSアンケートとは?質問例・作り方・分析・活用まで実務目線で完全解説
- 2025/12/28
- 2025/12/28
目次
「NPSアンケートをやったほうがいい」と聞くものの、実際には「何を聞けばいいのか」「どう分析すれば活用できるのか」で止まっている方も多いのではないでしょうか。
NPSアンケートは、質問自体はシンプルですが、設計や運用を誤るとスコアを眺めるだけで終わってしまいます。
一方で、目的に沿って設問を組み、分析の視点を持って運用すれば、顧客ロイヤルティや改善優先度を判断する有効な材料になります。
本記事では、NPSアンケートの基本的な考え方から、すぐに使える質問例、設計・作り方のポイント、結果の読み解き方や活用方法までを、実務で使える視点で整理します。
これから初めてNPSアンケートを導入する方はもちろん、すでに実施しているが活かしきれていない方にも役立つ内容です。
NPSアンケートとは?顧客ロイヤルティを測る指標の基本

NPSアンケートとは、顧客が商品やサービスを「他人にすすめたいか」という視点から、ロイヤルティの強さを測るためのアンケート手法です。
単なる満足・不満ではなく、「推奨する意思があるかどうか」を0〜10のスコアで評価してもらう点が特徴といえるでしょう。
この設計によって、表面的な評価では見えにくい「継続利用」や「口コミにつながる可能性」を数値として捉えられるようになります。
そのためNPSは、マーケティング施策やCX改善だけでなく、経営指標として導入されるケースも増えてきました。
では、このNPSアンケートを実施すると、具体的にどのようなことが分かるのでしょうか。次にその中身を整理していきます。
NPSアンケートで分かること
NPSアンケートを通じて把握できるのは、単なる評価点数だけではありません。
スコアをもとに顧客を「推奨者・中立者・批判者」に分類することで、どの層が事業成長に貢献し、どの層に課題が残っているのかが見えてきます。
さらに自由記述の理由回答を組み合わせることで、「なぜその評価になったのか」「改善すべき体験はどこか」といった示唆も得られるでしょう。
これは、感覚的な仮説ではなく、顧客の言葉を根拠にした改善判断につながります。
ただし、NPSアンケートは目的を誤ると「測って終わり」になりがちです。
次は、そもそもなぜNPSアンケートを実施するのか、その目的を整理します。
NPSアンケートと顧客満足度(CS)アンケートの違い
NPSアンケートと顧客満足度アンケートの違いは、「評価の軸」と「活用のゴール」にあります。
CSアンケートは、現時点での満足・不満を把握するのに適している一方、改善後の成果が売上や成長につながるかは判断しづらい側面があります。
これに対してNPSアンケートは、推奨意向という将来志向の指標を使うことで、顧客の行動変化を予測しやすくなります。
また、業界内比較や時系列での変化を追いやすい点も、NPSが継続的に使われる理由の一つでしょう。
どちらが優れているかではなく、「何を知りたいのか」「どこに活かしたいのか」によって使い分けることが重要です。
NPSスコアアンケートの仕組みと計算方法
NPSスコアアンケートの仕組みは、一見すると非常にシンプルです。
基本となるのは、「この商品・サービスを友人や同僚にすすめたいと思いますか?」という1つの質問と、0〜10の11段階評価だけです。しかし、このシンプルさの裏側には、顧客ロイヤルティを構造的に捉えるための明確なロジックがあります。
NPSでは、回答されたスコアをそのまま平均するのではなく、顧客を3つの層に分類します。
9〜10点を付けた顧客は「推奨者」、7〜8点は「中立者」、0〜6点は「批判者」と定義されます。この分類によって、「強く支持している顧客」と「不満を抱えている顧客」を意図的に分離して捉えられるのがNPSの特徴です。
NPSスコアの計算方法は次の通りです。
回答者全体に占める推奨者の割合から、批判者の割合を差し引きます。
NPSスコア = 推奨者の割合(%) − 批判者の割合(%)
例えば、100人が回答し、推奨者が30%、批判者が20%だった場合、NPSスコアは「+10」となります。
この数値は−100から+100の範囲で推移し、プラスであるほどロイヤルティが高い状態と判断されます。
ここで重要なのは、中立者が計算式に含まれない点です。
中立者は満足している可能性はあるものの、推奨行動には直結しにくい層と位置付けられています。そのため、NPSは「好意的な顧客をどれだけ増やし、否定的な顧客をどれだけ減らせているか」を端的に示す指標になっています。
この仕組みによって、NPSスコアは単なる満足度の平均値よりも、事業成長や解約リスクと結びつけて解釈しやすい数値になります。
次のセクションでは、このNPSスコアをどう評価し、どの水準を目安に考えるべきかを整理していきます。
NPSアンケートの基本構造|設問・項目・質問数の考え方

NPSアンケートは「質問が1つだけ」と説明されることも多いですが、実務で活用する場合は、最低限の補助設問をどう設計するかが成果を大きく左右します。
重要なのは、情報を取りにいきすぎず、それでいて次のアクションに使えるだけの文脈を確保することです。ここでは、設問・項目・質問数をどう考えるべきかを整理します。
NPSアンケートの設問は何を聞くべきか
NPSアンケートの中心となるのは、推奨度を問うメイン設問です。
「この商品(サービス)を、友人や同僚にすすめたいと思いますか?」
この設問があることで、NPSスコアを算出でき、他社や過去データとの比較も可能になります。
ただし、実務でよく起きるのが「スコアは出たが、理由が分からず改善に活かせない」という状態です。
そのため、多くの企業ではメイン設問に加えて、理由を聞くフォローアップ設問を1問だけ追加します。
「その点数を付けた理由を教えてください」
この1問があるだけで、推奨者・中立者・批判者それぞれの背景が見え始め、施策につなげやすくなるでしょう。
ここで重要なのは、最初から細かく聞こうとしないことです。まずは顧客自身の言葉で理由を語ってもらう設計が基本になります。
NPSアンケート項目の最小構成と注意点
NPSアンケートの最小構成は、次の2点に集約されます。
- 推奨度を問う設問
- 理由を聞くフォローアップ設問
この2項目だけでも、NPSとしては十分に成立します。
属性情報や利用頻度、満足している点・不満点などを追加したくなる場面も多いですが、最初から盛り込みすぎると回答率が一気に下がる傾向があります。
特に注意したいのが、NPSアンケートを「総合満足度調査の代替」にしようとするケースです。
NPSはあくまでロイヤルティの指標であり、網羅的な顧客理解を目的とした調査とは役割が異なります。役割を混同すると、どちらも中途半端になりやすいでしょう。
もし属性別に分析したい場合でも、年齢や業種など1〜2項目に留め、後続の調査やCRMデータと組み合わせて補完する考え方が現実的です。
NPSアンケート内容を増やしすぎないための判断基準
設問を追加するかどうか迷ったときは、「この質問の回答を見て、具体的に何を変えるのか」を基準に考えると判断しやすくなります。
回答を見ても次のアクションが思い浮かばない設問は、今は不要である可能性が高いでしょう。
また、NPSアンケートは継続的に実施して推移を見る指標でもあります。質問内容が多いほど、毎回同じ条件でデータを取り続ける難易度も上がります。
まずは最小構成で始め、スコアと理由を安定して回収できる状態を作る。
そのうえで、特定の課題が見えてきた段階で、別のアンケートやインタビューを設計する。この分業の考え方が、NPSを形骸化させないための現実的な運用と言えるでしょう。
NPSアンケートの質問例・設問例まとめ【そのまま使える】

NPSアンケートは設計思想がシンプルな分、「質問文をどう書くか」で結果の使いやすさが大きく変わります。
ここでは、実務でそのまま流用しやすい形で、基本質問からスコア別のフォローアップ設問までを整理します。文言は業種や商材名を差し替えるだけで使える前提です。
NPSアンケートの基本質問例(0〜10段階)
NPSアンケートの核となる質問は、必ずこの形式をベースにします。
「この【商品/サービス/会社】を、友人や同僚にすすめたいと思いますか?0〜10の中から最も近い数字を選んでください。」
ポイントは、「満足していますか」ではなく「すすめたいか」と聞くことです。
推奨行動を前提にすることで、単なる感想ではなく、ロイヤルティの強さを測れる設問になります。
文言を調整する場合も、「おすすめしたい」「共有したい」などに置き換えすぎるとNPSの定義から外れるため注意が必要でしょう。
NPSアンケートのフォローアップ質問例
基本質問だけではスコアの理由が分からないため、次に1問だけ理由を聞くのが一般的です。
「その点数を付けた理由を教えてください。」
この質問は、自由記述にするのが基本です。
選択肢を用意すると回答しやすくなる反面、顧客の本音が見えにくくなるケースもあるため、最初は自由記述がおすすめです。
ここから先は、回答スコアに応じて質問を分岐させることで、より実務に使いやすい情報を得られます。
推奨者(9〜10)の質問例
推奨者は、すでに価値を感じている層です。
この層には「強みの言語化」や「拡散のヒント」を聞く設問が向いています。
「この【商品/サービス】の、特に良いと感じている点はどこですか。」
「どのような点が、他の人にもすすめたいと思える理由になっていますか。」
「実際に、どんな人におすすめしたいと思いますか。」
これらの回答は、営業資料やWebサイトの訴求、レビュー活用にも転用しやすい情報になります。
改善点を無理に聞かず、ポジティブな体験を深掘りする姿勢が重要です。
中立者(7〜8)の質問例
中立者は、不満があるとは限りませんが、決定的な推奨理由が不足している状態です。
少しの改善で推奨者に変わる可能性があるため、「あと一歩」を探る質問が有効でしょう。
「どの点が改善されれば、より高い点数を付けたいと思いますか。」
「利用する中で、少し気になった点があれば教えてください。」
「他社と比べて、物足りないと感じる点はありますか。」
この層の声は、プロダクト改善やオペレーション見直しの優先順位付けに直結しやすいのが特徴です。
批判者(0〜6)の質問例
批判者はネガティブな体験をしている可能性が高く、感情的な回答になることもあります。
ただし、最も改善余地が詰まっている層でもあります。
「ご期待に沿えなかった点はどこでしょうか。」
「どのような点が改善されれば、評価が変わると思いますか。」
「今回の体験で、特に不満に感じた点があれば教えてください。」
ここでは、言い訳を前提にした質問や、誘導的な表現は避けるべきです。
率直な不満を受け止める設計にすることで、解約防止やサービス改善につながるヒントが得られるでしょう。
次に具体的なケース別にNPSアンケートで活用できる質問例をみていきましょう。
お客様アンケートとして使う場合のNPS質問例
お客様アンケートとしてNPSを使う場合は、「全体満足」ではなく「関係性の強さ」を測る視点が重要になります。
購入直後や利用開始直後ではなく、一定期間使った後に聞く前提で設計すると、より意味のある回答が集まりやすいでしょう。
基本質問としては、次の形が汎用的です。
「この【商品/サービス】を、友人や同僚にすすめたいと思いますか。0〜10でお答えください。」
フォローアップでは、単なる感想ではなく、今後の改善や継続利用につながる視点を意識します。
「その点数を付けた理由を教えてください。」
「今後も利用し続けたいと思える点、もしくは不安に感じている点はありますか。」
特にBtoBやサブスクリプション型サービスでは、「継続」「比較」「代替」の文脈が回答に表れやすく、営業やカスタマーサクセスの次アクションを考える材料になります。
このように顧客視点でのNPSは、改善点の洗い出しだけでなく、ロイヤルティの変化を追う目的で活用しやすいでしょう。
研修アンケートで使うNPS質問例
研修アンケートでNPSを使う場合は、「満足したか」よりも「他者に勧めたいか」を軸にすることで、研修の価値そのものを測れます。
特に社内研修や外部向け研修では、企画改善や次回開催の判断材料として有効です。
基本質問は、対象を明確にした形が適しています。
「この研修を、同僚や他部署のメンバーにすすめたいと思いますか。0〜10でお答えください。」
フォローアップでは、内容・構成・実務への活用度を分解して聞くと、改善点が整理しやすくなります。
「そう感じた理由を教えてください。」
「特に役立った内容、または分かりにくかった点はありましたか。」
「業務で活かせそうだと感じたテーマは何でしょうか。」
研修NPSは、講師評価ではなく「研修体験全体」を評価する設問設計にすることで、属人的な評価に寄りすぎない結果を得やすくなります。
この視点は、次に紹介する業界別NPS設計にも共通します。
銀行・通信業界で使われるNPSアンケート質問例
銀行や通信業界では、商品単体よりも「体験の一連の流れ」を評価する目的でNPSが使われるケースが多く見られます。
そのため、質問文も抽象的すぎないように、具体的な接点を意識して設計されることが一般的です。
たとえば銀行の場合、次のような聞き方が考えられます。
「今回の手続き・サポートを含めて、この金融サービスを他の人にすすめたいと思いますか。0〜10でお答えください。」
通信業界では、回線品質やサポート体験を切り分ける設計がよく用いられます。
「通信品質やサポート対応を含めて、このサービスを他の人にすすめたいと思いますか。」
「今回の手続きや問い合わせ対応で、特に印象に残った点はありましたか。」
これらの業界では、NPSの数値そのものよりも、低スコアの理由をどう改善アクションにつなげるかが重視されます。
そのため、フォローアップ質問は必ずセットで設計し、定点観測できる形にしておくことが重要でしょう。
NPSアンケートの作り方|設計から実施までのステップ

NPSアンケートは、質問自体はシンプルですが、設計を誤ると「数字は出たが、次に何をすべきかわからない」状態に陥りがちです。
重要なのは、作成前の設計と、実施後の使い道をセットで考えることではないでしょうか。
基本的な流れとしては、
目的の明確化 → 設問設計 → 配布・実施 → 分析・アクション
という順序になります。
この中でも特に成果を左右するのが、最初の設計フェーズです。そこでまず、設計段階で何を決めるべきかから整理していきましょう。
NPSアンケート設計で最初に決めるべきこと
最初に決めるべきなのは、「このNPSアンケートで何を判断したいのか」です。
単に顧客満足度を把握したいのか、解約リスクを察知したいのか、営業やCSの打ち手を見直したいのかで、設計は大きく変わります。
例えば、次のような問いを自分たちに投げかけると整理しやすくなります。
- このスコアを見て、誰が何を判断するのか
- スコアが下がった場合、どんなアクションにつなげたいのか
- 単発で見るのか、定点で追い続けるのか
ここが曖昧なまま進めてしまうと、NPSスコアが高い・低いという事実だけが残り、改善に結びつきません。
設計段階で「このアンケートは、次の意思決定のために使う」と言語化しておくことが重要でしょう。
目的が定まったら、次は実際の調査をどう進めるかを考えていきます。
NPSアンケート調査の進め方
調査の進め方では、「いつ・誰に・どの頻度で聞くか」を具体化します。
NPSは聞くタイミングによって結果が大きく変わるため、実務ではここが非常に重要です。
代表的な進め方としては、次の2つがあります。
一つは、一定期間ごとに実施する定期調査です。
半年や1年に1回実施し、顧客全体のロイヤルティの変化を見る方法で、経営指標として使われるケースが多いでしょう。
もう一つは、特定の接点後に実施するタイミング調査です。
契約後、サポート対応後、研修終了後など、体験直後に聞くことで、具体的な改善点を把握しやすくなります。
また、配布方法も重要です。
メール、フォーム、アプリ内表示など、回答者にとって負担の少ない手段を選ぶことで、回答率が大きく変わってきます。
調査の進め方を整理した上で、最後に目的別の設計パターンを確認しておくと、全体像がより明確になります。
NPSアンケートの目的別設計パターン
NPSアンケートは、目的ごとに設計パターンを変えることで、実務で使えるデータになります。代表的なパターンをいくつか見てみましょう。
顧客ロイヤルティを把握したい場合は、基本質問+理由の自由記述のみの最小構成が向いています。質問数を絞ることで、定点観測しやすくなり、スコアの推移を追うことに集中できます。
解約防止や改善点抽出が目的の場合は、NPS質問に加えて「不満点」「改善してほしい点」を聞く設計が有効です。
特に批判者の回答を深掘りできるよう、フォローアップ質問を工夫すると次の打ち手が見えやすくなります。
営業・提案に活かしたい場合は、NPSスコアと合わせて「利用シーン」「評価理由」を取得し、顧客属性と紐づけて分析できる形にします。この場合、単なるアンケートではなく、ヒアリングの入口として設計する意識が必要でしょう。
このように、NPSアンケートは「何を測るか」ではなく「何に使うか」から逆算して設計することが重要です。
NPSアンケートの回答率を上げるポイントと注意点
NPSアンケートは、設計がシンプルな分「回答してもらえるかどうか」で成果が大きく変わります。
スコアの正確性は回答数に強く依存するため、回答率をどう確保するかは分析以前の重要テーマだといえるでしょう。
特に実務では、「一度やって終わり」ではなく、継続的に実施するケースが多いため、無理のない設計が求められます。まずは、回答率が下がりやすい典型的なパターンから整理します。
NPSアンケート回答率が下がる典型パターン
回答率が下がる原因は、特別なものではなく、よくある設計ミスに集約されます。
代表的なのは、質問数が多すぎるケースです。
NPSは1問で成立する指標にもかかわらず、背景情報を取りすぎてしまうと、回答者の心理的ハードルが一気に上がります。
次に多いのが、質問文が抽象的すぎるパターンです。
「総合的にどうでしたか」といった曖昧な表現は、考える負担が増え、途中離脱につながりやすくなります。
また、タイミングが悪い場合も注意が必要でしょう。
利用直後ではなく、体験の記憶が薄れた状態で送付すると、そもそも開封されないことも少なくありません。
こうした失敗を避けるためには、質問数・文言・タイミングをセットで最適化する必要があります。
回答率を上げる質問数・文言・タイミング
回答率を上げる基本は、「考えずに答えられる状態」を作ることです。
質問数は、NPSの基本質問とフォローアップ1問程度に抑えるのが現実的でしょう。
特に最初の質問で0〜10の選択肢を提示することで、直感的に回答できます。
文言については、評価対象を明確にすることが重要です。
「このサービス全体」なのか、「直近の対応」なのかを限定するだけで、回答スピードは大きく変わります。
タイミングは、体験直後が最も効果的です。
購入後、問い合わせ対応後、研修終了後など、感情が残っている段階で配布すると回答率が上がりやすいでしょう。
こうした工夫を重ねても、一定の母数がなければ分析は成立しません。次は、サンプル数の考え方について整理します。
NPSアンケートでサンプル数を確保する考え方
NPSアンケートでは、絶対的な正解サンプル数が決まっているわけではありません。
重要なのは、「意思決定に足る傾向が見えるかどうか」です。
全顧客向けの定点調査であれば、数百件単位を目標にするケースが多いでしょう。
一方で、特定の施策やイベント後の評価であれば、数十件でも十分な示唆が得られる場合があります。
無理に一度で集めようとせず、複数回に分けて回収する設計も有効です。
継続実施を前提にすれば、回答率の改善とサンプル数の積み上げを同時に狙えます。
十分なデータが集まったら、次は結果の見方と分析に進みます。
NPSアンケート結果の集計・分析方法
NPSアンケートの価値は、スコアそのものよりも「どう読み解くか」にあります。
単純な数値比較で終わらせないために、基本的な見方を押さえておく必要があります。
NPSアンケート結果の基本的な見方
まず確認すべきは、NPSスコアの推移です。
単発の数値よりも、前回から上がったのか下がったのか、その変化に注目すると示唆が見えやすくなります。
加えて、回答数の増減や、特定の時期に偏りがないかもチェックしておきたいポイントです。
スコアだけを見て判断すると、背景を見誤る可能性があります。
ここから一歩踏み込むために、回答者の分類ごとの視点が重要になります。
推奨者・中立者・批判者ごとの分析視点
推奨者は、現状の強みを教えてくれる存在です。
なぜ高く評価しているのかを把握することで、訴求ポイントや成功要因が明確になります。
中立者は、改善余地を示す層だと考えられます。
少しの改善で推奨者に転じる可能性があるため、具体的な不満点に注目すると効果的でしょう。
批判者は、離脱リスクやネガティブ要因を教えてくれます。
感情的に捉えるのではなく、構造的な問題を見つける材料として扱う姿勢が重要です。
この分類を深掘りする際に欠かせないのが、自由回答の扱い方です。
自由回答を活かすNPSアンケート分析手法
自由回答は、定量スコアを補完する最も重要な情報源です。
まずは内容をカテゴリごとに分類し、頻出テーマを把握すると全体像が見えてきます。
すべてを精緻に分析しようとせず、「繰り返し出てくる声」に注目するだけでも十分な示唆が得られるでしょう。
特に批判者と中立者の自由回答は、改善施策のヒントになりやすい傾向があります。
このように、NPSアンケートは回答率の設計から分析の視点まで一貫して考えることで、単なる調査ではなく、実務に活きる意思決定ツールへと変わっていきます。
よくある質問|NPSアンケートでつまずきやすいポイント
NPSアンケートはシンプルな設計で始めやすい一方、実際に運用・分析を進める中で判断に迷いやすいポイントも多くあります。ここでは、実務で特につまずきやすい代表的な質問について整理します。
Q1.NPSアンケート結果はどう評価すべきですか?
NPSはスコアの高低だけで判断せず、変化と背景をあわせて見ることが重要です。
実務では、前回からの推移、顧客層や接点ごとの違い、自由回答との整合性という3点を押さえると、数値の意味が具体化します。NPSは単体で結論を出す指標ではなく、文脈とセットで解釈すべきものと捉えると判断を誤りにくくなります。
Q2.NPSアンケートはどのくらいの頻度で行うべきですか?
適切な頻度は目的次第です。
全体的な顧客ロイヤルティを把握する場合は、四半期〜半年に一度の定点調査が一般的でしょう。一方、購入直後や問い合わせ後など体験評価が目的なら、イベント単位での実施が向いています。重要なのは頻度そのものより、比較可能な条件を保つことです。
Q3.CSアンケートとNPSアンケートは併用すべきですか?
両者は役割が異なるため、状況に応じて併用が有効です。
CSは体験直後の満足度把握に向き、NPSは将来的なロイヤルティや推奨意向を測ります。CSで課題を把握し、NPSで改善の影響を確認する使い分けが実務的でしょう。ただし、質問を詰め込みすぎない設計が前提になります。
まとめ|NPSアンケートは「質問」より「設計と活用」で差がつく
NPSアンケートは、質問そのものが特別だから成果が出るわけではありません。重要なのは、何のために実施し、どのタイミングで、どう解釈し、次のアクションにどうつなげるかという設計と活用の部分です。
スコアを一度出して終わりにしてしまうと、単なる数値確認で終わってしまいます。一方で、目的を定め、比較できる形で継続的に実施し、自由回答とあわせて読み解けば、顧客ロイヤルティの変化や改善の手がかりが見えてくるでしょう。
NPSアンケートは「正解を測る調査」ではなく、「判断精度を高めるための仕組み」です。質問の文言を磨くこと以上に、設計と運用に目を向けることが、実務で成果を分けるポイントになると考えられます。
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